「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名を徹底解説!

文語文法

 俳句作り専門家が、「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名(歴史的仮名遣い)を徹底解説!!
この記事を読んでいただければ次の疑問が解消されます。

「わいうえを」「やいゆえよ」旧仮名の平仮名表記
「わいうえを」「やいゆえよ」旧仮名のカタカナ表記
「わいうえを」「やいゆえよ」ローマ字の書き方
「わゐうゑをパソコン入力方法
「わゐうゑを」発音

「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名の平仮名表記

新仮名(ひらがな)わいうえをやいゆえよ
旧仮名(ひらがな)やいゆえよ

上段が現在の平仮名、下段が昔の平仮名です。
赤文字の部分が、現在と昔で変化しているところです。
ワ行は変化していますが、ヤ行は変化していません。

「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名のカタカナ表記

わいうえをやいゆえよ
新仮名(カタカナ)ワイウエヲヤイユエヨ
旧仮名(カタカナ)ヤイユエヨ

上段が現在のカタカナ、下段が昔のカタカナです。
赤文字の部分が、現在と昔で変化しているところです。
ワ行は変化していますが、ヤ行は変化していません。

「わいうえを」「やいゆえよ」のローマ字の書き方

わいうえをやいゆえよ
新仮名(ローマ字)Wa I U E WoYa I Yu E Yo
わゐうゑをやいゆえよ
旧仮名(ローマ字)Wa Wi Wu We WoYa Yi Yu Ye Yo
天埜景康(1923).『最新ローマ字文教授書』.ローマ字ひろめ会.p.22.

新仮名と旧仮名では、赤文字の部分が変わります。
ただ、旧仮名の「わゐうゑを」をローマ字を書くことなどないので、ここは無視して大丈夫です。
書くことがあるのは、現在の「わいうえを」だけです。

「わゐうゑを」のパソコン入力方法

わゐうゑを
パソコン入力WA WI WU WE WO

「ゐ・ゑ」は次のように入力します

WI → ゐ・ヱ
WE → ゑ・ヰ

「わゐうゑを」の発音

「わゐうゑを」の発音は、キーボード入力と同じ「WA・WI・WU・WE・WO」と昔は発音していましたが、現在は「WA・I・U・E・WO」です。

「ゐ・ゑ」を含む季語

旧仮名で俳句を作る際、特に注意が必要なのが「わいうえを」と「わゐうゑを」の使い分けです。
現代の仮名遣いでは使われない「ゐ(い)」と「ゑ(え)」の区別は、旧仮名での表記において非常に重要となります。

「ゐ」と「ゑ」を含む季語の例

漢字で表記する場合は問題ありませんが、ひらがなで書く際に間違いやすい季語の例をいくつかご紹介します。

藍刈(あかり) → あかり
井守(もり)  → もり
夏の園(なつのん) → なつの
絵筵(むしろ)   → むしろ

 
「い」や「え」の音を含む季語をひらがなで表記する際は、「ゐ」「ゑ」に変化しないか必ず確認をしましょう

歳時記と旧仮名表記の注意点

身近な季語である「えのころ草」は、旧仮名では「のころ草」と書きます。

俳句を始めたばかりの頃は、歳時記に「えのころ草」と書かれていると、そのまま旧仮名だと思って使ってしまうことがあります。しかし、これは間違いです。

歳時記に掲載されている季語の主要なものは、旧仮名で表記されていますが、主要でない季語では新仮名で表記されていることが多くあります。そのため、歳時記を鵜呑みにせず、ご自身で正しい旧仮名表記を確認することが不可欠です
確認する方法は後述します。


下記の本では、旧仮名での表記が正しく書かれているため、間違わずに季語を使うことができます。

「ゐ・ゑ」を含む俳句

「ゐ」と「ゑ」は季語にだけ現れるわけではありません。俳句全体で旧仮名を使用する際には、季語以外の部分でも「い」や「え」の表記に注意が必要です。

「ゐ」と「ゑ」を含む俳句の例

実際に「ゐ」と「ゑ」が使われている俳句を見てみましょう。

うつろの心に眼が二つあいてゐる  尾崎放哉 尾崎放哉の句集 (Amazon) >> 
この沢やいま大瑠璃鳥(おおるり)のこゑひとつ   水原秋櫻子 水原秋櫻子の句集 (Amazon) >> 

このように、季語ではない場所でも「ゐ」や「ゑ」は使われます。
そのため、句の中で「い」や「え」を使う際は、必ず「ゐ」や「ゑ」に変化しないかを確認するようにしましょう

なぜ確認が必要なのか?

「い」や「え」が常に「ゐ」や「ゑ」に変わるわけではないため、確認が不可欠です。

「あいうえお」の「い・え」は、旧仮名でも「い・え」です

「やいゆえよ」の「い・え」は、旧仮名でも「い・え」です

旧仮名で「ゐ」や「ゑ」に変化するのは、「わいうえを」の「い」「え」だけです。


このように、一部の「い」や「え」のみが「ゐ」や「ゑ」に変わるため、旧仮名で俳句を作る際は、特に注意を払って正しい表記を確認するようにしてください

このように言うと
「どうやって確認をすればいいの?」と、不安に思う人もいるかもしれません。
安心してください、簡単に調べる方法を紹介します。

俳句作りで「い・え」と「ゐ・ゑ」を間違わないために

俳句を作る際、「い」や「え」が旧仮名の「ゐ」や「ゑ」に変わるかどうか、簡単に確認できる方法があります。辞書を使えば数秒で調べられるので、ぜひ覚えておきましょう。

確認手順 (例:「いもり(井守)」の場合)
たとえば次の俳句を作ったとします

どことなく 待ちぼうけする もり(井守)かな
              ↑
この「い」の部分が、旧仮名で「ゐ」に変わらないかを確認してみましょう。

※残念ながら、このページを書いていた時に使った「goo辞書」は2025年6月25日でサービスを終了しました。しかし、代替の辞書サイトでも同様に確認できますので、手順はそのまま載せます。



検索窓に「いもり」と入力して検索します。

旧仮名で「ゐ・ゑ」を確認する方法


検索結果の中から「いもり(井守)」を選び、読み方が表記されている部分を確認します。

旧仮名を確認する方法


もし「い-もり(ゐ-)」のように「(ゐ-)」と表記されていれば、旧仮名では「ゐもり」と書くという意味です。
旧仮名でも「いもり」と書く場合は、「(ゐ-)」のような表記はありません。

旧仮名の調べ方

このように、旧仮名を確認は簡単にできます。
俳句に「い」や「え」の平仮名が出てきたら、旧仮名を確認する習慣をつけましょう。


代替辞書サイトを使う際の注意点
現在、ウェブ上で有名な辞書サイトとして「Weblio」や「コトバンク」があります。これらを使っても問題ありませんが、一点だけ注意が必要です。

「Weblio」や「コトバンク」は、複数の辞書を横断的に検索して結果を表示します。しかし、横断検索される辞書の中には、旧仮名の読み方を表示しないものも含まれています。そのため、検索結果に旧仮名が表示されない場合でも、実際には旧仮名が存在する可能性があります。
つまり、「旧仮名が表示されていないから、現代と同じ表記でいいだろう」と思って書いたら、実は間違っていた、というケースが稀に発生しうるということです。

「Weblio」や「コトバンク」で検索して複数の結果が表示された場合は、少々手間ですが、念のため複数の結果を確認することをおすすめします。



俳句作りにお勧めの本

俳句作りで文法の基礎を勉強するのに、おすすめの本です
基礎をしっかりと学べるので、間違った言葉の使い方がなくなりますし
表現したい言葉を、古語に直して使えるようになります

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