助動詞の「やうなり」の説明をしています。
記事を読むと、「やうなり」の意味、接続、活用などが、すっきりが理解できます。
また、「やうなり」を上手に使って俳句を作ることができるようになります。
「やうなり」の意味
「やうなり」の意味は、次のとおり
種類 | 意味 |
比況 (他のものに比べ例える) | ~ようだ、~みたいだ |
例示 (例として示す) | ~ようだ |
状態 (物事のありさま) | ~ようすだ、~状態だ |
この表を見ると、どれも「~ようだ」という意味で、具体的な違いが分かりづらい人もいるかもしれませんので、下にニュアンスと例文を載せています
「やうなり」のニュアンスと例文
種類 | ニュアンス | 例文 |
比況 (他のものに比べ例える) | AをBに重ねて表現 | 彼の笑顔は太陽のようだ |
例示 (例として示す) | AをBで具体的に説明 | 彼は静かで猫のようだ |
状態 (物事のありさま) | Aの状態を示す | 彼は疲れているようだ |
「やうなり」の俳句
種類 | 俳句 |
比況 | 秋の暮 水のやうなる 酒二合 (秋の暮に飲む酒は、まるで水のようである) |
例示 | 月はあれど 留守のやうなり 須磨の夏 (月はあるのに、この夏の須磨の土地は留守のような感じがするものだ) |
状態 | お中元 おなじやうなる 句集来る (お中元として句集が届くが、どれも同じようなものばかりだ) |
「やうなり」の使い分けのポイント
種類 | ポイント |
比況 | 対象物の新しい視点で表現したいときに使うとよい 読者に深い印象を与えることができるが、ピンポイントの表現をしないと読者は感動しない |
例示 | 対象物の具体的なイメージを述べたいときに使うとよい 対象物の様子がより読者に伝わりやすい |
状態 | 対象物を主観的に述べたいときに使うとよい 作者の心情を伝える俳句になる |
「やうなり」の接続
「やうなり」は、活用語の連体形や、「名詞+の」「名詞+が」などに付く。
つまり、こういうこと
例文 | |
活用語の連体形 + 「やうなり」 | あるがやうなり |
「名詞+の」 + 「やうなり」 | 鳥のやうなり |
「名詞+が」 + 「やうなり」 | 露がやうなり |
「やうなり」の活用表
「やうなり」は助動詞ナリ活用
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
やうなら | やうなり やうに | やうなり | やうなる | やうなれ | 〇 |
ポイント!「なり」は、断定の助動詞に近いため、命令形はない
活用表の一覧はこちらにありますので、ご活用ください >>>
「やうなり」と「やうに」の違い(使い分け)
「やうなり」の活用形を見ると、連用形に「やうなり」と「やうに」の2つがあります
どのように使い分けるのかですが
「やうなり」は助詞や読点が続くときに使われやすい
三度歌ふやうなりしが(助詞)
疑ひなきやうなり、(読点)
「やうに」はその後に品詞が続くときに使われやすい
玉のやうに美しい(名詞)
鳥のやうに舞う(動詞)
虹のやうに儚い(形容詞)
このような違いがあります
「やうなり」の現代語訳
「やうなり」の現代語訳は
「まるで… である」「… みたいである。…のようだ」
「やうなり」の現代仮名遣い
「やうなり」を現在の言葉(口語)に直すと「ようだ」
「やうなり」を無理に現代仮名遣いで表記しようとすると「ようなり」
「ようなり」を俳句で見かけるが、このような言葉はないので注意
活用してみると、次のような可笑しな言葉ができてしまう
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
ようなら | ようなり ように | ようなり | ようなる | ようなれ | 〇 |
「やうなり」と「ごとし」の違い
使われ方の違い
「やうなり」は昔、和文で多く使われた言葉
「ごとし」は昔、漢文を訓読のようにした文章で多く使われた言葉
意味
「やうなり」も「ごとし」も意味は同じ
「やうなり」を品詞分解
「やうなり」を品詞分解すると、次のようになる
名詞「やう」+助動詞「なり」
「やう」の意味は、「様子や状態」
「なり」の意味は、「…である、…だ」
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