2音の季語は、ここに置くと作りやすい

俳句を作る

俳句を作るとき、どこに季語を置くか迷いますよね。実は、季語は音の数によって置きやすい場所があります。
特に2音の季語は、置き方を工夫すると俳句がぐっと作りやすくなります。

2音の季語の置く場所

2音の季語を効果的に使うなら、五音の句にして「上五」か「下五」に置くのがおすすめです。
例えば、「牡蠣(かき)」という2音の季語であれば
「牡蠣筏(かきいかだ)」「牡蠣殻を」「牡蠣を剥く」というように、5音の文字にして「上五」か「下五」に置きます。

5文字にして「上五」に置く
牡蠣殻を / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇

5文字にして「下五」に置く
〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇〇〇 / 牡蠣

このように季語を含む5音を先に作ってしまえば、それに合った12音を考えるだけで済むので、俳句作りがぐっと楽になります。

ここで、「牡蠣」の2音だけしか決まっておらず、残り16音を一気に考えようとすると、かなり難くなります。

なぜ2音の季語だけだと難しいの?

「牡蠣」という季語だけを上五の冒頭に置いて、残りの15音を埋めようとすると、次のような問題が起こりがちです。

  1. 書く内容が定まらない
    「牡蠣」だけだと、何を書くべきか焦点が絞れず、言葉がなかなか出てきません。しかし、「牡蠣殻を」「牡蠣を剥く」のように5音にすると、「牡蠣」よりも具体的な情景となり、続く言葉を考えやすくなります。
  2. リズムを考える場所が増える
    五七五のリズムを、16音の中で意識しながら作る必要があります。
    • 牡蠣〇〇〇 / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇 → 5音と7音、7音と5音の間の2か所のリズムを考えなければなりません。
    一方、「牡蠣を剥く」のように5音の句を先に作っておくと、残りの12音のリズムに集中すればいいので楽です。
    • 牡蠣を剥く / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇 → 7音と5音の間の1か所のリズムだけを考えればOKです。



2音の季語を使った俳句

「牡蠣」を例にして話してきたので、「牡蠣」の俳句を見てみましょう。

上五に置く

牡蠣筏 少年はかもめ 射るしぐさ   榎本愛子
牡蠣筏 漕ぎ入れ水脈引く 朝の海    山﨑實枝子
牡蠣殻を 重ねて人を 好きになる   田中朋子

下五に置く

ナプキンの 角に日あたり 牡蠣料理  桂信子
口も手も 八丁以上 牡蠣割女  小宅容義
風匂う 志摩の入江の 牡蠣筏   篠木睦



2音の季語の紹介

2音の季語の一覧を載せたので、その季語で俳句を作ってみましょう

 



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2音

海髪(うご)、鷽(うそ)、独活(うど)、海胆(うに)、梅(うめ)、蝌蚪(かと)、雉(きじ)、桑(くわ)、東風(こち)、芹(せり)、凧(たこ)、萵苣(ちさ)、蜷(にな)、韮(にら)、海苔(のり)、蜂(はち)、花(はな)、春(はる)、藤(ふじ)、鱒(ます)、御忌(ぎょき)、蝶(ちょう)

2音

麻(あさ)、鯵(あじ)、汗(あせ)、鮎(あゆ)、蟻(あり)、瓜(うり)、蟹(かに)、黴(かび)、蚊帳(かや)、喜雨(きう)、鱚(きす)、蜘蛛(くも)、螻蛄(けら)、夏至(げし)、鯖(さば)、紫蘇(しそ)、紙魚(しみ)、海霧(じり)、鮓(すし)、蟬(せみ)、セル(せる)、滝(たき)、蛸(たこ)、蓼(たで)、梅雨(つゆ)、茄子(なす)、夏(なつ)、虹(にじ)、蚤(のみ)、蠅(はえ)、鱧(はも)、薔薇(ばら)、鷭(ばん)、蛭(ひる)、枇杷(びわ)、蕗(ふき)、蚋(ぶよ)、蛇(へび)、べら(べら)、繭(まゆ)、麦(むぎ)、灼く(やく)、灼け(やけ)、簗(やな)、川床(ゆか)、百合(ゆり)、余花(よか)、蘭(らん)、蝦蛄(しゃこ)、初夏(しょか)、避暑(ひしょ)、雹(ひょう)

2音

秋(あき)、粟(あわ)、稲(いね)、芋(いも)、荻(おぎ)、柿(かき)、萱(かや)、雁(かり)、菊(きく)、黍(きび)、霧(きり)、葛(くず)、栗(くり)、茱萸(ぐみ)、解夏(げげ)、胡麻(ごま)、鮭(さけ)、鹿(しか)、鴫(しぎ)、月(つき)、蔦(つた)、露(つゆ)、梨(なし)、萩(はぎ)、稲架(はざ)、鯊(はぜ)、稗(ひえ)、鶸(ひわ)、五倍子(ふし)、五倍子(ふし)、鰡(ぼら)、虫(むし)、郁子(むべ)、鵙(もず)、籾(もみ)、柚子(ゆず)、早稲(わせ)、棉(わた)、古酒(こしゅ)、処暑(しょしょ)

2音

牡蠣(かき)、火事(かじ)、風邪(かぜ)、鴨(かも)、狩(かり)、寒(かん)、熊(くま)、鮫(さめ)、冴ゆ(さゆ)、霜(しも)、炭(すみ)、咳(せき)、橇(そり)、鷹(たか)、足袋(たび)、鱈(たら)、鶴(つる)、葱(ねぎ)、胼(ひび)、河豚(ふぐ)、冬(ふゆ)、鰤(ぶり)、榾(ほだ)、餅(もち)、雪(ゆき)、夜着(よぎ)、鷲(わし)、除夜(じょや)

新年

2音

去年(こぞ)、独楽(こま)、歯朶(しだ)、屠蘇(とそ)


まとめ

俳句を完成させるには、季語、音数、リズム、内容など、たくさんの要素を考える必要があります。それらを全て考えながら、いきなり完成形を目指すことは、俳句作りに慣れた人でも難しいものです。
2音の季語を使う場合は、季語を含んだ5音の句を先に作り、上五か下五に置くのがおすすめです。
この方法なら、残りの12音を考えることに集中でき、句を完成させやすくなります。



ほかの音数の季語の置く場所(記事リンク)

俳句を作る際、季語の音数によって、最も効果的な配置場所が変わることがあります。
それぞれの音数に合わせた季語の配置方法を、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。


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