俳句を作るとき、どこに季語を置くか迷いますよね。実は、季語は音の数によって置きやすい場所があります。
特に1音の季語は、置き方を工夫すると俳句がぐっと作りやすくなります。
3音の季語の置く場所
3音の季語を効果的に使うなら
①五音の文字にして「上五」か「下五」に置く
②切字の「かな」を付けて、下五に置く
のがおすすめです。
例えば、「青田(あおた)」という3音の季語であれば
「青田風」「青田揺れ」「大青田」というように、5音の文字にして「上五」か「下五」に置くか
「青田かな」というように切字を付けて、下五に置きます。
このように、五七五の「五」の部分が決まってしまえば、それに合った12音を考えるだけで済むので、俳句作りがぐっと楽になります。
ここで、「青田」の3音だけしか決まっておらず、残り14音を一気に考えようとすると、かなり難くなります。
なぜ3音の季語だけだと難しいの?
「青田」の3音だけを上五の冒頭に置いて、残りの14音を埋めようとすると、次のような問題が起こりがちです。
- 書く内容が定まらない
「青田」だけだと、何を書くべきか焦点が絞れず、言葉がなかなか出てきません。しかし、「青田風」「青田揺れ」のように5音にすると、「青田」よりも具体的な情景となり、続く言葉を考えやすくなります。 - リズムを考える場所が増える
五七五のリズムを、16音の中で意識しながら作る必要があります。- 青田〇〇 / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇 → 5音と7音、7音と5音の間の2か所のリズムを考えなければなりません。
- 青田風 / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇 → 7音と5音の間の1か所のリズムだけを考えればOKです。
5音を作るメリット
3音の季語は、「青田風」「青田揺れ」「大青田」のように5音にすることで、俳句が作りやすくなるのですが、それ以外にもメリットがあります。
特に「青田風」「大青田」のような名詞の5音にすると、句の雰囲気を変えることができます。
上五に名詞を置く
「青田風」などの名詞を上五に置くと、句に軽やかな切れ味が生まれます。
青田風/〇〇〇〇〇〇〇/〇〇〇〇〇
青田風 入れて通夜の座 やはらぎぬ
この配置は、句全体をすっきりと見せる効果があります。
下五に名詞を置く
下五に名詞を置くと、「名詞止め」という表現になり、句に重厚感や余韻をもたらします。
〇〇〇〇〇/〇〇〇〇〇〇〇/青田風
土間ぬけて 遠山へ去る 青田風
これにより、読者は最後の言葉をじっくりと味わうことができます。
「かな」で終わる
「青田かな」のように、3音の季語に「かな」を付けて下五に置くと、作品の格が上がります。
〇〇〇〇〇/〇〇〇〇〇〇〇/青田かな
竹藪に はさまれている 青田かな
「かな」により、俳句らしい詠嘆や感動が表現され、作品の格が上がります。
3音の季語を使った俳句
3音の季語である「青田」の俳句を見てみましょう。
上五に置く
青田風 拾ひしものは 横抱きに 田中亜美
青田風 水のささやき 集め来て 宮脇美智子
下五に置く
西施せつせつ 髮洗うよう 青田波 白川温子
裏山の ごろりとありぬ 大青田 伊藤政美
「かな」を使う
鷺下りし あたりそよげる 青田かな 岡崎伸
風の筋 水の筋見ゆ 青田かな 木谷尚子
3音の季語の紹介
3音の季語の一覧を載せたので、その季語で俳句を作ってみましょう
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春 | 3音石蓴(あおさ)、朝寝(あさね)、浅蜊(あさり)、薊(あざみ)、五加木(うこぎ)、雨水(うすい)、梅見(うめみ)、朧(おぼろ)、蚕(かいこ)、蛙(かえる)、搗布(かじめ)、霞(かすみ)、細螺(きさご)、紫雲英(げんげ)、黄砂(こうさ)、蚕飼(こがい)、穀雨(こくう)、木の芽(このめ)、辛夷(こぶし)、桜(さくら)、栄螺(さざえ)、挿木(さしき)、さより(さより)、鰆(さわら)、残花(ざんか)、四月(しがつ)、蜆(しじみ)、酸葉(すいば)、杉菜(すぎな)、巣箱(すばこ)、菫(すみれ)、田打(たうち)、田螺(たにし)、遅日(ちじつ)、接木(つぎき)、土筆(つくし)、躑躅(つつじ)、椿(つばき)、茅花(つばな)、燕(つばめ)、雪崩(なだれ)、菜飯(なめし)、二月(にがつ)、鰊(にしん)、根分(ねわけ)、長閑(のどか)、野蒜(のびる)、野焼く(のやく)、はこべ(はこべ)、斑雪(はだれ)、花見(はなみ)、春田(はるた)、彼岸(ひがん)、鹿尾菜(ひじき)、干鱈(ひだら)、ひとで(ひとで)、日永(ひなが)、雲雀(ひばり)、遍路(へんろ)、水菜(みずな)、目刺(めざし)、海雲(もずく)、諸子(もろこ)、焼野(やけの)、柳(やなぎ)、弥生(やよい)、雪間(ゆきま)、余寒(よかん)、嫁菜(よめな)、蓬(よもぎ)、落花(らっか)、若布(わかめ)、嫩芽(わかめ)、山葵(わさび)、蕨(わらび)、甘茶(あまちゃ)、虚子忌(きょしき)、修二会(しゅにえ)、松露(しょうろ)、受験(じゅけん)、製茶(せいちゃ)、遅春(ちしゅん)、茶摘(ちゃつみ)、春社(しゅんしゃ)、柳絮(りゅうじょ) |
夏 | 3音葵(あおい)、青田(あおた)、青野(あおの)、青葉(あおば)、藜(あかざ)、汗疹(あせも)、暑し(あつし)、穴子(あなご)、網戸(あみど)、飴湯(あめゆ)、あやめ(あやめ)、洗膾(あらひ)、荒布(あらめ)、袷(あわせ)、鮑(あわび)、安居(あんご)、杏(あんず)、藺刈(いかり)、泉(いずみ)、苺(いちご)、ゐもり(いもり)、岩魚(いわな)、植田(うえだ)、鵜飼(うかい)、浮巣(うきす)、団扇(うちわ)、卯月(うづき)、鰻(うなぎ)、卯波(うなみ)、扇(おうぎ)、オクラ(おくら)、泳ぎ(およぎ)、河鹿(かじか)、鰹(かつお)、岩菲(がんぴ)、胡瓜(きうり)、帰省(きせい)、水鶏(くいな)、草矢(くさや)、海月(くらげ)、競渡(けいと)、毛虫(けむし)、夏書(げがき)、五月(ごがつ)、皐月(さつき)、さつき(さつき)、早苗(さなえ)、茂り(しげり)、清水(しみず)、紫蘭(しらん)、西瓜(すいか)、すぐり(すぐり)、涼し(すずし)、納涼(すずみ)、李(すもも)、盛夏(せいか)、田植(たうえ)、端午(たんご)、ダリア(だりあ)、粽(ちまき)、出水(でみず)、蜥蜴(とかげ)、登山(とざん)、とべら(とべら)、トマト(とまと)、蜻蛉(とんぼ)、土用(どよう)、夏蚕(なつご)、夏野(なつの)、夏炉(なつろ)、鯰(なまず)、西日(にしび)、寝冷え(ねびえ)、幟(のぼり)、羽蟻(はあり)、白夜(はくや)、端居(はしい)、蓮見(はすみ)、裸(はだか)、跣足(はだし)、花火(はなび)、バナナ(ばなな)、晩夏(ばんか)、パセリ(ぱせり)、日傘(ひがさ)、日雀(ひがら)、緋鯉(ひごい)、旱(ひでり)、単衣(ひとえ)、日焼(ひやけ)、日除(ひよけ)、昼寝(ひるね)、ビール(びーる)、噴井(ふきい)、太藺(ふとい)、海蘿(ふのり)、プール(ぷーる)、穂肥(ほごえ)、蛍(ほたる)、穂絮(ほわた)、牡丹(ぼたん)、ボート(ぼーと)、真菰(まこも)、祭(まつり)、蝮(まむし)、緑(みどり)、南風(みなみ)、蚯蚓(みみず)、百足(むかで)、葎(むぐら)、眼白(めじろ)、目高(めだか)、メロン(めろん)、藻刈(もかり)、やませ(やませ)、山女(やまめ)、守宮(やもり)、浴衣(ゆかた)、葭簀(よしず)、葭戸(よしど)、夜鷹(よたか)、夜焚(よたき)、ヨット(よっと)、夜釣(よづり)、夜振(よぶり)、夜店(よみせ)、ラムネ(らむね)、立夏(りっか)、露台(ろだい)、若葉(わかば)、梅酒(うめしゅ)、キャベツ(きゃべつ)、キャンプ(きゃんぷ)、金魚(きんぎょ)、極暑(ごくしょ)、白菖(しょうぶ)、新樹(しんじゅ)、新茶(しんちゃ)、上布(じょうふ)、大暑(たいしょ)、泥鰌(どじょう)、薄暑(はくしょ)、氷菓(ひょうか)、風炉茶(ふろちゃ)、芒種(ぼうしゅ)、麦茶(むぎちゃ)、緑夜(りょくや)、溽暑(じょくしょ) |
秋 | 3音秋蚕(あきご)、通草(あけび)、小豆(あずき)、竃馬(いとど)、蝗(いなご)、佞武多(いぶた)、佞(いぶた)、鰯(いわし)、雨月(うげつ)、鶉(うづら)、浮塵子(うんか)、苧殻(おがら)、晩稲(おくて)、落穂(おちぼ)、囮(おとり)、踊(おどり)、案山子(かがし)、懸巣(かけす)、鰍(かじか)、門火(かどび)、鹿火屋(かびや)、刈田(かりた)、カンナ(かんな)、寒露(かんろ)、砧(きぬた)、茸(きのこ)、九月(くがつ)、胡桃(くるみ)、柑子(こうじ)、木の実(このみ)、ささげ(ささげ)、秋刀魚(さんま)、石榴(ざくろ)、紫苑(しおん)、子規忌(しきき)、占地(しめじ)、芒(すすき)、鱸(すずき)、酸橘(すだち)、相撲(すもう)、芋茎(ずいき)、施餓鬼(せがき)、添水(そうづ)、大豆(だいず)、月見(つきみ)、鶫(つぐみ)、照葉(てりは)、冬瓜(とうが)、中稲(なかて)、鳴子(なるこ)、根釣(ねづり)、佞武多(ねぶた)、野菊(のぎく)、野分(のわき)、白露(はくろ)、葉月(はづき)、花野(はなの)、柞(ははそ)、螇蚚(ばった)、鶲(ひたき)、穭(ひつじ)、瓢(ふくべ)、芙蓉(ふよう)、普羅忌(ふらき)、葡萄(ぶどう)、糸瓜(へちま)、零余子(むかご)、木槿(むくげ)、無月(むげつ)、紅葉(もみじ)、夜学(やがく)、柚味噌(ゆみそ)、夜寒(よさむ)、夜長(よなが)、夜なべ(よなべ)、林檎(りんご)、檸檬(れもん)、南瓜(かぼちゃ)、桔梗(ききょう)、残暑(ざんしょ)、秋気(しゅうき)、秋思(しゅうし)、生姜(しょうが)、新酒(しんしゅ)、熟柿(じゅくし)、芭蕉(ばしょう)、夜食(やしょく)、良夜(りょうや) |
冬 | 3音網代(あじろ)、厚司(あつし)、霰(あられ)、行火(あんか)、藺植う(いうう)、魦(いさぎ)、鼬(いたち)、亥の子(いのこ)、囲炉裏(いろり)、兎(うさぎ)、落葉(おちば)、おでん(おでん)、懐炉(かいろ)、神楽(かぐら)、蕪(かぶら)、紙子(かみこ)、枯木(かれき)、枯野(かれの)、枯葉(かれは)、寒波(かんぱ)、雁木(がんぎ)、狐(きつね)、嚔(くさめ)、鯨(くじら)、葛湯(くずゆ)、毛皮(けがわ)、氷(こおり)、凍る(こおる)、炬燵(こたつ)、木の葉(このは)、小春(こはる)、氷下魚(こまい)、寒し(さむし)、朱欒(ざぼん)、時雨(しぐれ)、霜夜(しもよ)、師走(しわす)、スキー(すきー)、酢茎(すぐき)、頭巾(ずきん)、焚火(たきび)、竹瓮(たっぺ)、炭団(たどん)、狸(たぬき)、千鳥(ちどり)、追儺(ついな)、氷柱(つらら)、冬至(とうじ)、褞袍(どてら)、海鼠(なまこ)、避寒(ひかん)、火鉢(ひばち)、衾(ふすま)、襖(ふすま)、蒲団(ふとん)、吹雪(ふぶき)、冬木(ふゆき)、冬田(ふゆた)、冬菜(ふゆな)、冬野(ふゆの)、捕鯨(ほげい)、鮪(まぐろ)、マスク(ますく)、マント(まんと)、蜜柑(みかん)、瑞穂(みずほ)、霙(みぞれ)、目貼(めばり)、毛布(もうふ)、ヤッケ(やっけ)、雪見(ゆきみ)、雪眼(ゆきめ)、湯ざめ(ゆざめ)、柚子湯(ゆずゆ)、柳葉魚(ししゃも)、障子(しょうじ)、ショール(しょーる)、ジャケツ(じゃけつ)、十夜(じゅうや)、氷湖(ひょうこ)、屏風(びょうぶ)、霧氷(むひょう)、樹氷(じゅひょう) |
新年 | 3音五日(いつか)、会陽(えよう)、飾(かざり)、歌留多(かるた)、今年(ことし)、雑煮(ぞうに)、手毬(てまり)、出初(でぞめ)、年木(としぎ)、薺(なづな)、七日(なぬか)、年賀(ねんが)、初卯(はつう)、初荷(はつに)、初日(はつひ)、初湯(はつゆ)、春着(はるぎ)、二日(ふつか)、三日(みっか)、睦月(むつき)、四日(よっか)、若菜(わかな)、御行(おぎょう)、賀状(がじょう)、御慶(ぎょけい)、淑気(しゅくき)、朝賀(ちょうが)、年酒(ねんしゅ)、礼者(れいじゃ) |
まとめ
俳句を完成させるには、季語、音数、リズム、内容など、たくさんの要素を考える必要があります。それらを全て考えながら、いきなり完成形を目指すことは、俳句作りに慣れた人でも難しいものです。
3音の季語を使う場合は
①季語を含んだ5音の文字を先に作り、上五か下五に置く
②切字の「かな」を付けて、下五に置く
のがおすすめです。
この方法なら、残りの12音を考えることに集中でき、句を完成させやすくなります。
ほかの音数の季語の置く場所(記事リンク)
俳句を作る際、季語の音数によって、最も効果的な配置場所が変わることがあります。
それぞれの音数に合わせた季語の配置方法を、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
- 1音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 2音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 3音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 4音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 5音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 6音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 7音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 8音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 9音の季語は、ここに置くと作りやすい
音数で探す、季語の本

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