6音の季語は、ここに置くと作りやすい

俳句を作る

俳句を作るとき、どこに季語を置くか迷いますよね。実は、季語は音の数によって置きやすい場所があります。
特に1音の季語は、置き方を工夫すると俳句がぐっと作りやすくなります。

6音の季語の置く場所

6音の季語を効果的に使うなら、配置には二つの方法がおすすめです。
①上五か下五に置く
②助詞をつけて中七に置く

上五か下五に置く

六音の季語を上五(五音)や下五(五音)に置くのは、俳句の世界ではよく見られます。

例)
一輪草 〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇

この場合、「一輪草(いちりんそう)」は六音ですが、「いちりんそう」と一息に読み、五音と同じように扱います。
この方法の利点は、五音部分が先に決まるため、残りの十二音(七音+五音)を考えることに集中できる点です。

助詞をつけて中七に置く

六音の季語に「は」「が」「の」などの助詞をつけ、七音にして中七(七音)に置く方法もあります。

例)
〇〇〇〇〇  一輪草は 〇〇〇〇〇

この方法の利点は、助詞をつけることで、その後の言葉とスムーズにつながりやすくなる点です。「一輪草は」「一輪草が」「一輪草の」のように、季語と助詞を組み合わせることで中七が完成するため、下五の流れが作りやすいといえます。

〇〇〇〇〇  一輪草は 〇〇〇〇〇
        ↓
〇〇〇〇〇  一輪草は 風に揺れ

このように、十二音が作れてしまえば、後は上五を集中して作ればよいだけとなります。




6音の季語を使った俳句

6音の季語である「青鬼灯」の俳句を見てみましょう。

上五に置く

青鬼灯 文明という 自転車過ぐ   塩野谷仁
青鬼灯 もし灯が入らば 何のいろ  岡本眸

下五に置く

忘却は 宝の小箱 青鬼灯             石塚初栄
派遣切り 鉢売りされる 青鬼灯            望月富子

助詞をつけて中七に置く

かまきりも 青鬼灯も うまれけり   百合山羽公
雑艸に 青鬼灯の 黄みかな   右城暮石



6音の季語の紹介

6音の季語の一覧を載せたので、その季語で俳句を作ってみましょう。

 



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6音

青木の花(あおきのはな)、通草の花(あけびのはな)、蘆の若葉(あしのわかば)、馬酔木の花(あしびのはな)、アスパラガス(あすぱらがす)、アズマイチゲ(あずまいちげ)、杏の花(あんずのはな)、苺の花(いちごのはな)、一輪草(いちりんそう)、鶯餅(うぐいすもち)、楓の花(かえでのはな)、垣繕ふ(かきつくろう)、春日祭(かすがまつり)、木五倍子の花(きぶしのはな)、炬燵塞ぐ(こたつふさぐ)、桜鰄(さくらうぐい)、樒の花(しきみのはな)、枝垂桜(しだれざくら)、しどみの花(しどみのはな)、スターリン忌(すたーりんき)、李の花(すもものはな)、先帝祭(せんていさい)、暖炉納む(だんろおさむ)、薺の花(なずなのはな)、乗込鮒(のっこみぶな)、花大根(はなだいこん)、花種蒔く(はなだねまく)、花盗人(はなぬすびと)、孕雀(はらみすずめ)、春一番(はるいちばん)、春大雪(はるおおゆき)、春大根(はるだいこん)、春の霰(はるのあられ)、春の入江(はるのいりえ)、春の落葉(はるのおちば)、春の霙(はるのみぞれ)、春竜胆(はるりんどう)、彼岸桜(ひがんざくら)、一人静(ひとりしずか)、二人静(ふたりしずか)、復活祭(ふっかつさい)、菠薐草(ほうれんそう)、防風摘む(ぼうふうつむ)、ボートレース(ぼーとれーす)、水草生ふ(みずくさおう)、壬生念仏(みぶねんぶつ)、ミモザの花(みもざのはな)、都踊(みやこおどり)、都忘れ(みやこわすれ)、葎若葉(むぐらわかば)、物種蒔く(ものだねまく)、桃の節句(もものせっく)、山吹草(やまぶきそう)、雪割草(ゆきわりそう)、山桜桃の花(ゆすらのはな)、林檎の花(りんごのはな)、勿忘草(わすれなぐさ)、磯巾着(いそぎんちゃく)、銀杏の花(いちょうのはな)、球根植う(きゅうこんうう)、山椒の芽(さんしょうのめ)、春分の日(しゅんぶんのひ)、二月礼者(にがつれいじゃ)、馬鈴薯植う(ばれいしょうう)、旧正月(きゅうしょうがつ)

6音

葵祭(あおいまつり)、青鬼灯(あおほほづき)、朝顔市(あさがおいち)、東踊(あずまおどり)、海酸漿(うみほおずき)、えぞにうの花(えぞにうの花)、花魁草(おいらんそう)、楝の花(おうちのはな)、踊子草(おどりこそう)、お花畑(おはなばたけ)、お化け屋敷(おばけやしき)、海水浴(かいすいよく)、蚊帳吊草(かやつりぐさ)、胡瓜の花(きうりのはな)、祇園祭(ぎおんまつり)、草孵蝣(くさかげろう)、胡桃の花(くるみのはな)、グラジオラス(ぐらじおらす)、月下美人(げっかびじん)、米搗虫(こめつきむし)、石榴の花(ざくろのはな)、森林浴(しんりんよく)、千日草(せんにちそう)、筍飯(たけのこめし)、筑摩祭(つくままつり)、石花菜採る(てんぐさとる)、天道虫(てんとうむし)、梯梧の花(でいごのはな)、海桐の花(とべらのはな)、土用鰻(どよううなぎ)、土用蜆(どようしじみ)、夏座蒲団(なつざぶとん)、夏大根(なつだいこん)、夏手袋(なつてぶくろ)、日日草(にちにちそう)、ハイビスカス(はいびすかす)、蠅虎(はえとりぐも)、蓮の浮葉(はすのうきは)、花橘(はなたちばな)、浜豌豆(はまえんどう)、浜昼顔(はまひるがお)、浜防風(はまぼうふう)、パイナップル(ぱいなっぷる)、冷索麺(ひやそうめん)、仏法僧(ぶっぽうそう)、糸瓜の花(へちまのはな)、鬼灯市(ほおずきいち)、蛍袋(ほたるぶくろ)、松葉牡丹(まつばぼたん)、万太郎忌(まんたろうき)、蜜柑の花(みかんのはな)、水機関(みずからくり)、水木の花(みずきのはな)、水鉄砲(みずてっぽう)、水羊羹(みずようかん)、三船祭(みふねまつり)、麦の黒穂(むぎのくろほ)、矢車菊(やぐるまぎく)、山桜桃の実(やまもものみ)、山葵の花(わさびのはな)、青山椒(あおさんしょう)、浮人形(うきにんぎょう)、槐の花(えんじゅのはな)、南瓜の花(かぼちゃのはな)、干瓢剥く(かんぴょうむく)、カーネーション(かーねーしょん)、鏡太郎忌(きょうたろうき)、夾竹桃(きょうちくとう)、牛馬冷す(ぎゅうばひやす)、葛饅頭(くずまんじゅう)、三光鳥(さんこうちょう)、三光鳥(さんこうちょう)、山椒魚(さんしょううお)、三社祭(さんじゃまつり)、秋櫻子忌(しゅうおうしき)、慈悲心鳥(じひしんちょう)、芭蕉の花(ばしょうのはな)、百日草(ひゃくにちそう)、冷し中華(ひやしちゅうか)、辣韮漬(らっきょうづけ)、竜舌蘭(りゅうぜつらん)、暑中見舞(しょちゅうみまい)、武者人形(むしゃにんぎょう)

6音

秋の蛍(あきのほたる)、温め酒(あたためざけ)、隠元豆(いんげんまめ)、鬱金の花(うこんのはな)、漆紅葉(うるしもみじ)、運動会(うんどうかい)、狗尾草(えのころぐさ)、白粉花(おしろいばな)、臭木の花(くさぎのはな)、梔子の実(くちなしのみ)、敬老の日(けいろうのひ)、桜紅葉(さくらもみじ)、時代祭(じだいまつり)、硯洗(すずりあらい)、雑木紅葉(ぞうきもみじ)、体育の日(たいいくのひ)、立待月(たちまちづき)、煙草の花(たばこのはな)、燕帰る(つばめかえる)、釣瓶落し(つるべおとし)、玉蜀黍(とうもろこし)、南天の実(なんてんのみ)、白膠木紅葉(ぬるでもみじ)、美男葛(びなんかづら)、更待月(ふけまちづき)、臥待月(ふしまちづき)、風炉の名残(ふろのなごり)、べつたら市(べったらいち)、弁慶草(べんけいそう)、牡丹根分(ぼたんねわけ)、真菰の馬(まこものうま)、真菰の花(まこものはな)、木天蓼の実(またたびのみ)、松茸飯(まつたけめし)、松虫草(まつむしそう)、山梨の実(やまなしのみ)、夕顔の実(ゆうがおのみ)、銀杏黄葉(いちょうもみじ)、菊人形(きくにんぎょう)、芸術祭(げいじゅつさい)、珊瑚樹の実(さんごじゅのみ)、山椒売(さんしょううり)、山椒の実(さんしょうのみ)、秋海棠(しゅうかいどう)、秋分の日(しゅうぶんのひ)、障子洗う(しょうじあらう)、二百十日(にひゃくとおか)、百八燈(ひゃくはちとう)、盆狂言(ぼんきょうげん)、茗荷の花(みょうがのはな)

6音

アロエの花(あろえのはな)、鮟鱇鍋(あんこうなべ)、潤目鰯(うるめいわし)、門松立つ(かどまつたつ)、枯蟷螂(かれとうろう)、寒念仏(かんねんぶつ)、降誕祭(こうたんさい)、御用納(ごようおさめ)、三平汁(さんぺいじる)、神農祭(しんのうさい)、大根引(だいこんひき)、大根干す(だいこんほす)、電気毛布(でんきもうふ)、名の草枯る(なのくさかる)、のっぺい汁(のっぺいじる)、羽子板市(はごいたいち)、柊挿す(ひひらぎさす)、鞴祭(ふいごまつり)、冬暖か(ふゆあたたか)、碧梧桐忌(へきごとうき)、報恩講(ほうおんこう)、防雪林(ぼうせつりん)、牡丹焚火(ぼたんたきび)、ポインセチア(ぽいんせちあ)、八手の花(やつでのはな)、銀杏落葉(いちょうおちば)、蒟蒻掘る(こんにゃくほる)、十一月(じゅういちがつ)

新年  

6音

馬騎初(うまのりぞめ)、恵方詣(えほうまいり)、白朮詣(おけらまいり)、鏡開(かがみびらき)、飾納(かざりおさめ)、稽古始(けいこはじめ)、御用始(ごようはじめ)、仕事始(しごとはじめ)、新年会(しんねんかい)、成人の日(せいじんのひ)、ちやつきらこ(ちやつきらこ)、十日戎(とおかえびす)、野老飾る(ところかざる)、歳徳神(としとくじん)、七種粥(ななくさがゆ)、七草爪(ななくさづめ)、初商(はつあきない)、初鴬(はつうぐいす)、初観音(はつかんのん)、初金毘羅(はつこんぴら)、初東雲(はつしののめ)、初天神(はつてんじん)、初弁天(はつべんてん)、花びら餅(はなびらもち)、女正月(おんなしょがつ)、切山椒(きりざんしょう)、講書始(こうしょはじめ)、上元の日(じょうげんのひ)、投扇興(とうせんきょう)、繞道祭(にょうどうさい)、初勤行(はつごんぎょう)




まとめ

俳句を完成させるには、季語、音数、リズム、内容など、たくさんの要素を考える必要があります。それらを全て考えながら、いきなり完成形を目指すことは、俳句作りに慣れた人でも難しいものです。

6音の季語を使う場合は
①上五か下五に置く
②助詞をつけて中七に置く
のがおすすめです。

上五か下五に置く方法なら、残りの12音を考えることに集中できます。
助詞をつけて中七に置く方法なら、同時に下五までの12音を作ってしまえば、残りの5音を考えることに集中できます。

ほかの音数の季語の置く場所(記事リンク)

俳句を作る際、季語の音数によって、最も効果的な配置場所が変わることがあります。
それぞれの音数に合わせた季語の配置方法を、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。


音数で探す、季語の本

「あの場所に、あと一音の季語が欲しい」「五音の季語でもっと表現を広げたい」
そんな悩みを解決する、新しい季語の本です。

『パッと希望の音数の季語がさがせる: 音数からの「季語」検索本』は、12,500語の季語を音数ごとに整理しています。
言葉の響きを意識しながら、あなたの俳句にぴったりの季語がきっと見つかります。

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