俳句を作るとき、どこに季語を置くか迷いますよね。実は、季語は音の数によって置きやすい場所があります。
特に1音の季語は、置き方を工夫すると俳句がぐっと作りやすくなります。
7音の季語の置く場所
7音の季語を効果的に使う場合、配置の仕方は主に二つあります。
① 上五・下五に置く
② 中七に置く
上五・下五に置く
7音の季語を上五・下五に置くのは、俳句の世界ではよく見られます。
アイスコーヒー / 〇〇〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇〇〇 / アイスコーヒー
この場合、「アイスコーヒー」は7音ですが、「アイスコーヒー」と一息に読み、五音と同じように扱います。
この方法の利点は、上五・下五が先に決まるため、残りの音(七音+五音)を考えることに集中できる点です。
中七に置く
7音の季語を中七に置くのも有効です。
〇〇〇〇〇 / アイスコーヒー / 〇〇〇〇〇
中七の季語が決まってしまえば、季語につながる「5音+季語」もしくは「季語+5音」を考えることになります。
汗をかく アイスコーヒー / 〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇 / アイスコーヒー 少し飲む
このように12音が決まってしまえば、残りの5音を考えることに集中できます。
7音の季語を使った俳句
7音の季語である「アイスコーヒー」の俳句を見てみましょう。
上五に置く
アイスコーヒー軽き一書を携へて 宇都宮敦子
アイスコーヒー遊覧船に持ちこんで 渡部ひとみ
アイスコーヒー氷を突きて聞き上手 采野久美子
下五に置く
仏像展見終へ一気にアイスコーヒー 堤節子
切り替への会議一息アイス珈琲 大堀賢二
中七に置く
茶房ひまアイスコーヒー一人飲む 河中透水
凶の日のアイスコーヒー胃に沁みる 鳴海清美
Aランチアイスコーヒー付けますか 稲畑廣太郎
7音の季語の紹介
7音の季語の一覧を載せたので、その季語で俳句を作ってみましょう。
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春 |
7音豌豆の花(えんどうのはな)、桜桃の花(おうとうのはな)、小賀玉の花(おがたまのはな)、苧環の花(おだまきのはな)、数の子製す(かずのこせいす)、片栗の花(かたくりのはな)、鴨川踊(かもがわおどり)、枸橘の花(からたちのはな)、木苺の花(きいちごのはな)、北窓開く(きたまどひらく)、こでまりの花(こでまりのはな)、桜蘂降る(さくらしべふる)、三月十日(さんがつとおか)、山楂子の花(さんざしのはな)、白樺の花(しらかばのはな)、末黒の芒(すぐろのすすき)、鈴懸の花(すずかけのはな)、聖金曜日(せいきんようび)、蚕豆の花(そらまめのはな)、鷹鳩と化す(たかはととかす)、高山祭(たかやままつり)、大根の花(だいこんのはな)、鳥雲に入る(とりくもにいる)、満天星の花(どうだんのはな)、接骨木の花(にわとこのはな)、花換祭(はなかえまつり)、春の筍(はるのたけのこ)、春の夕焼(はるのゆうやけ)、羊の毛刈る(ひつじのけかる)、蛇穴を出づ(へびあなをいづ)、ヘリオトロープ(へりおとろーぷ)、三椏の花(みつまたのはな)、水口祭(みなくちまつり)、靖国祭(やすくにまつり)、雪囲とる(ゆきがこいとる)、山茱萸の花(さんしゅうのはな)、十三詣(じゅうさんまいり)、白鳥帰る(はくちょうかえる)、八十八夜(はちじゅうはちや) |
夏 |
7音アイスコーヒー(あいすこーひー)、青唐辛子(あおとうがらし)、アカシアの花(あかしあのはな)、虎杖の花(いたどりのはな)、薄翅蜉蝣(うすばかげろう)、卯の花腐し(うのはなくたし)、車前草の花(おおばこのはな)、大山蓮華(おおやまれんげ)、蚕の上蔟(かいこのあがり)、酢漿の花(かたばみのはな)、蟷螂生る(かまきりうまる)、萱草の花(かんぞうのはな)、ガタリンピック(がたりんぴっく)、がまずみの花(がまずみのはな)、羊蹄の花(ぎしぎしのはな)、擬宝珠の花(ぎぼうしのはな)、梔子の花(くちなしのはな)、げんのしようこ(げんのしようこ)、仙人掌の花(さぼてんのはな)、竹の皮脱ぐ(たけのかわぬぐ)、橙の花(だいだいのはな)、天神祭(てんじんまつり)、時の記念日(ときのきねんび)、常磐木落葉(ときわぎおちば)、蜻蛉生れる(とんぼうまれる)、名越の祓(なごしのはらえ)、茄子の鴫焼(なすのしぎやき)、夏の暁(なつのあかつき)、南天の花(なんてんのはな)、凌霄の花(のうぜんのはな)、浜木綿の花(はまゆふのはな)、ハンカチの花(はんかちのはな)、ビーチパラソル(びーちぱらそる)、ブーゲンビリア(ぶーげんびりあ)、蛇衣を脱ぐ(へびきぬをぬぐ)、鬼灯の花(ほほづきのはな)、水草の花(みずくさのはな)、むしかりの花(むしかりのはな)、茴香の花(ういきょうのはな)、馬鈴薯の花(じゃがいものはな)、ジューンドロップ(じゅーんどろっぷ)、水中眼鏡(すいちゅうめがね)、蒼朮を焚く(そうじゅつをたく)、玉巻く芭蕉(たままくばしょう)、半夏生草(はんげしょうぐさ) |
秋 |
7音秋の七草(あきのななくさ)、秋の夕焼(あきのゆうやけ)、色変へぬ松(いろかえぬまつ)、鹿の角伐(しかのつのきり)、高きに登る(たかきにのぼる)、蔓梅擬(つるうめもどき)、燈火親しむ(とうかしたしむ)、灯籠流し(とうろうながし)、南蛮煙管(なんばんぎせる)、ピラカンサの実(ぴらかんさのみ)、富士の初雪(ふじのはつゆき)、蛇穴に入る(へびあなにいる)、水草紅葉(みずくさもみじ)、水引の花(みずひきのはな)、紫式部(むらさきしきぶ)、紅葉かつ散る(もみじかつちる)、吉田火祭(よしだひまつり)、六道参(ろくどうまいり) |
冬 |
7音アイスホッケー(あいすほっけー)、神在祭(あみありまつり)、一碧楼忌(いっぺきろうき)、寒天製す(かんてんせいす)、北窓塞ぐ(きたまどふさぐ)、三寒四温(さんかんしおん)、大根洗ふ(だいこんあらう)、秩父夜祭(ちちぶよまつり)、ちやんちやんこ(ちやんちやんこ)、柊の花(ひひらぎのはな)、冬の鴬(ふゆのうぐいす)、冬の夕焼(ふゆのゆうやけ)、和布刈神事(めかりのしんじ)、年末賞与(ねんまつしょうよ) |
新年 |
7音歌会始(うたかいはじめ)、橙飾る(だいだいかざる)、箱根駅伝(はこねえきでん)、俎始(まないたはじめ)、正月の凧(しょうがつのたこ)、十六むさし(じゅうろくむさし)、七日正月(なぬかしょうがつ)、二十日正月(はつかしょうがつ) |
まとめ
俳句を完成させるには、季語、音数、リズム、内容など、たくさんの要素を考える必要があります。それらを全て考えながら、いきなり完成形を目指すことは、俳句作りに慣れた人でも難しいものです。
7音の季語を使う場合は
① 上五・下五に置く
② 中七に置く
のがおすすめです。
この方法なら、残りの12音を考えることに集中でき、句を完成させやすくなります。
ほかの音数の季語の置く場所(記事リンク)
俳句を作る際、季語の音数によって、最も効果的な配置場所が変わることがあります。
それぞれの音数に合わせた季語の配置方法を、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
- 1音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 2音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 3音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 4音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 5音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 6音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 7音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 8音の季語は、ここに置くと作りやすい
- 9音の季語は、ここに置くと作りやすい
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