添削・推敲とは?

俳句で「添削(てんさく)」という言葉を聞くけど、具体的にどういうもの?
という人のために、添削について解説します
添削に似た推敲(すいこう)についても、簡単に説明しています

添削とは?

「添削」というのは、先生が、生徒の俳句の問題点を見つけて修正すること
作者がうまく言えたつもりでも、言葉足らずだったり、言葉が不適切だったりすることがある
それを、客観的な視点で直してもらうことができる

生徒としては、客観的な視点からアドバイスをもらうことで、表現の幅が広がり、自分の作品をより深く理解することができる




添削を受けることは必要?

俳句を始めた当初は、「読者にどう見えているか」を客観的に判断するのは難しい
つまり、自分で自分の作品の問題点を見つけるのは困難ということ
だから、客観的な視点で指導を受けることが、作品を良い方向へ向かわせるためにも、自分の作句能力を高めるためにも重要



添削は作品の何を見る?

添削では、リズムや定型の問題点を確認するが
もっとも重要なのは「その言葉が最適か?」という確認

一句の中で使われている言葉と助詞を、一つ一つ確認する
その季語は最適か?
その言葉は最適か?
その助詞は最適か?

というように

これで、問題のある部分が見つかれば添削される

ちなみに、「添削」の「削」は無駄な言葉を削ること。「添」は、必要な言葉を足すこと
ほとんどの作品は「無駄な言葉」が多い
つまり、言葉を削る作業が大半になる




添削と推敲の違いは?

添削(てんさく)と推敲(すいこう)の違いは
直す人が、先生か自分かの違い

先生が他人の作品を修正することを「添削」
自分で自分の作品を修正することを「推敲」

あなたが初めて俳句を作ったときも、五七五に合わせるために、自分の言いたいことを表現するために、ああでもないこうでもないと言葉を差し替えたと思う
この差し替えて、作品を修正した行為が「推敲」
だから、あなたはすでに推敲をやっていた、ということになる

ただ、最初のうちは、自分で修正しても的外れなことが多いので、先生に頼むことになる
これが「添削」


推敲(自分で修正)しても、的外れなことが多いから添削(先生に修正)してもらう
そうだとしたら、推敲は「添削を参考」にすればいい、とも言える

推敲は、添削を参考にしよう

添削では「その言葉が最適か?」という確認作業が行われると説明した

その季語は最適か?
その言葉は最適か?
その助詞は最適か?

というように

このように、言葉の一つ一つを確認する作業を、自分が行う推敲でも行えばいい

自分の作品で使われている、全ての言葉を確認したとき
「最適だ!これ以外の言葉はない」と答えられれば、今の自分の力での最大の表現はできているのだから問題ない


もしも
この季語が最適とはまでは言えないかも・・
この言葉が一番ではないかも・・・
ほかに良い助詞があるかも・・・
といった感覚が少しでもあれば、たいていその感覚は正しい
時間をかけても直すべきだ
直さないで提出してもいいが、先生に添削されるだけだろう

自分で自信のないところを、一生懸命に考えて推敲するか
直すのが面倒だから、そのまま提出して、先生に添削させるか
どちらを選ぶかはあなた次第
選んだ方が、あなたの俳句に対する姿勢、というだけだ

当然、自分の気がつかなかった問題点を、先生が気付くことはある
それは技術も経験も、先生のほうが上なのだから仕方のないことだし、だからこそ、先生に私たちは添削を依頼する
添削により、自分で気が付かなかったところに気が付けたということで、あなたの視野はより広がったということだ
気を落とす必要はない



推敲をもう少し深めよう

その季語は最適か?
その言葉は最適か?
その助詞は最適か?

を推敲時に確認すると言ったが、この問いは、具体的には次のように細かくできる

季語であれば
「無駄な季重なり」はないか
「別の季節でも通じる」俳句でないか
「季語の説明」ではないか
その季語で「作者の気持ち」が伝わっているか
その季語で「景が広がるか」

言葉であれば
「自分の感情」を直接書いていないか
「イメージしやすい言葉」であるか
「無くても通じる言葉」は使っていないか
「説明・報告」でないか
「誰かが言ったような言葉」を使ってないか
「複数の事物を詰め込んで」いないか

助詞であれば
「助詞」の選択は適切か
「文語の助詞・助動詞の使い方」は正しいか
「切れ字」は最適か


推敲をするときは、このようなポイントを具体的に確認していくとよい



添削を体験・依頼できる場所

ところで、添削はどこでやってもらえるの?と思うかもしれない
添削は次のところで体験・依頼ができる

【結社】
俳句の結社(俳句のサークルみたいなもの)に入れば、たいがいはその結社の中で添削依頼ができる。
結社によって違うが、1回3句前後で千円くらいが一般的。

【結社以外】
俳句結社に入っていない、入りたくない、という人は以下の場所で添削を体験できる。

NHK学園生涯学習通信講座
俳句実作・俳句実作集中添削・俳句倶楽部
添削12回 3万6千円
https://www.n-gaku.jp/life/course/455

現代俳句協会
俳句添削教室
一回 4句以内
一回 1千円
https://www.gendaihaiku.gr.jp/culture/tensaku.html

ゴスペル俳句
一回 18句以上?
無料
https://gospel-haiku.com/hl/trule.htm

「花冠」俳句添削教室
1日1回、3句以内(当季雑詠のみ)
3週間は無料
それ以後は有料
http://www.21style.jp/bbs/kakan02/

ネット俳句会
年会費は3000円
入会後1年間は無料
http://dairo.main.jp/?page_id=13292

添削を依頼する際は、先生の添削例を参考に、自分の希望する添削やアドバイスがもらえるか確認したほうがいい
良い部分に「〇」、問題部分に「×」だけを付けて終わる先生
修正部分だけ提示して、あとは生徒に考えさせる先生
具体的なアドバイスを事細かく書いてくれる先生

などなど、先生によって添削方法は様々だ

どの先生がいいのかはあなた次第
体験をしてみて、自分に合った先生のところで続けた方が、長続きすると思う




添削本の活かし方

俳句の添削過程をまとめた本(添削本)は、数多く出版されているので、紹介したいと思う

「他人の句の直しを見て、本当に自分の実力になるのだろうか?」と思う方もいるかもしれないが、優れた添削本は、単なるビフォーアフターの提示にとどまらず、作句の本質を教えてくれる参考書にもなる
これから紹介する本をより深く味わい、自身の血肉にするための「読み方のヒント」をいくつか紹介する


まずは「自分ならどこを直すか」を考えてから答え合わせをする
添削本を開いたら、解説を読む前にまず原句(添削前の句)だけをよく見る
そして、「もし自分がこの句を1箇所だけ変えるとしたら、どこを直すか?(どの言葉を消すか・変えるか)」を考えてみること
実は、添削で最も大切なのは「綺麗に直された後の言葉」以上に、「原句のどこに問題があるかを見極める嗅覚」
多くの添削本をこの方法で読み進めると、100句、200句とこなすうちに、作品の「問題点」を嗅ぎ分ける能力が研ぎ澄まされていくのが分かってくる
最後の方には、あなたの見立てと先生の指摘が一致する確率が驚くほど高まっているはず


自分の作品の「大ケガ」を防ぐ推敲力を養う
「どこが悪いのか」が分からないまま自分の句を推敲すると、ときに一番残すべき重要な言葉を消してしまい、直せば直すほど作品がめちゃくちゃになってしまうことがある
添削本を通じて「引くべき言葉、変えるべき助詞」の基準を持てるようになると、自分の作品を推敲する際にも迷いがなくなり、的外れな修正による「自滅」を激減させることができる


「一つの正解」に縛られず、プロの「思考プロセス」を盗む

添削後の句は、決して「100点満点の絶対的な正解」ではない
元の句の魅力を活かしつつ、「こういう方向性や別の表現もある」という一人の選者からの提案にすぎない
だから、添削後の形をそのまま暗記しようとする必要はない


それよりも、

•          「なぜ先生はこの言葉を嫌ったのか」(理由の論理性を学ぶ)
•          「助詞一音、比喩一つの扱いで、どれほど景色が変わるか」(言葉の重みを知る)
•          「作者が詠みたかった背景(事実)を、どう言葉に定着させたか」(写生の精神を学ぶ)

という「プロの視座と推敲のプロセス」そのものを脳内にインストールする意識が良い

本書で紹介する10冊は、単に「下手な句を普通にする」だけではない
「仕事」という共通テーマから詠み方の偏りをあぶり出すもの、巨匠たちの歴史的な俳論に迫るもの、往復書簡で作者の心に寄り添うものなど、それぞれに独自の深い魅力をもっている

一音の妥協も許さない達人たちの視点に触れることは、自身の作句・推敲のクオリティを高める確かな力になるはず



添削本の紹介


夏井いつきの超カンタン!俳句塾

夏井いつきの超カンタン!俳句塾 才能アリ!俳句の作り方。
著者名    夏井 いつき
出版者    世界文化社
出版年月              2016.7

本書の企画の中で、「仕事」を題材にした公募句から40句を厳選し、具体的な添削を行っている。
季語や助詞をほんの一箇所変えるだけで、作品の印象が劇的に変わる様子が手取るように分かる。

今回は40句すべてが「仕事」という同一テーマのため、「仕事の俳句を詠むときは、どんな失敗をしやすいのか」「どういう視点に偏りがちか」という傾向を比較・確認できるのが大きな特徴。



俳句の作り方110のコツ

俳句の作り方110のコツ 添削だからよくわかる
著者名    辻 桃子
出版者    主婦の友インフォス情報社
出版年月              2005.3


本書では、110作品もの俳句を対象に「断定、具体化、写生、説明の避け方、比喩」といった、多角的なアプローチによる添削プロセスが網羅されている。

作品全体をガラリと変えるのではなく、ポイントを絞って部分的に添削しているため、一箇所の変更で作品がどう生まれ変わるのかが非常に理解しやすい構成。

本書を120%活かす勉強法は、元の句を見てまず「自分ならこう直す」と考えてから、答え合わせのように添削を読むこと。

もし「初心者だから、具体的な直し方なんて思い浮かばない」という場合は、「もし自分がこの句を1箇所だけ変えるとしたら、どこを直すか?」という視点で考えてみること。これなら初心者でも挑戦できるはず。
この「直すべき1箇所(問題点)を見極める能力」こそが、将来自分が句作や推敲をする際、作品のクオリティを劇的に高める確かな力(実力)へと繋がっていく。




基礎からわかるはじめての俳句上達のポイント

基礎からわかるはじめての俳句上達のポイント コツがわかる本
著者名    上野 貴子
出版者    メイツユニバーサルコンテンツ
出版年月              2020.6


本書は、約60句の俳句を例に挙げながら、実践的な推敲の手順を紹介している。

それぞれの句が抱える「問題点」や「修正すべき箇所・その内容」が明確に示されているのが特徴。
特に、原句と添削後の俳句がすぐ隣に並べて掲載されているため、一箇所の変更によるビフォーアフターの効果を視覚的に比較しやすくなっている。

コメント欄には「なぜこのように修正したのか」という具体的な理由もしっかりと解説されており、自分が俳句を作る際に「どこに注意すべきか」を体系的に学ぶための、非常に優れた参考書。




俳句のいのち

俳句のいのち
著者名    森 澄雄
出版者    角川書店
出版年月              1998.2

本書には、句会に提出された作品に対して、俳人・森澄雄氏が行ったリアルな講評が収録されている。

ガラリと添削している作品だけでなく、あえて手は加えず「注意点」を述べるに留めている作品もある。
しかし、この注意点の指摘こそが、とんでもなく具体的なのが本書の凄み。
助詞一つ、動詞の活用の選択肢一つにいたるまで、わずか「一音」の違いに対して『私はこう思う、なぜなら……』と徹底的に因果関係を掘り下げており、『プロはここまで言葉を凝視するのか』と驚きを禁じ得なかった。

しかもこれらは、事前に時間をかけて推敲した文章ではなく、その場の限られた時間で披講・鑑賞する「句会」での発言。
『短時間の中で、なぜここまで深く、構造を見抜いて読み込めるのか』という、達人の凄みと臨場感にも圧倒される。
自分が句作をする際、一音の妥協も許さない「プロの視座と注意点」を脳内にインストールするために、ぜひとも読んでおきたい一冊。






俳句添削教室 上

俳句添削教室 上
著者名    山口 誓子
出版者    埼玉福祉会
出版年月              1989.10


本書は添削本でありながら、冒頭の第1章を丸ごと費やして、松尾芭蕉や正岡子規の「俳句に対する思想」を丁寧に紐解いている。
芭蕉の俳論(俳句の理論)は多くの研究書で解説されていますが、元々の言葉遣いが独特なため、解説書自体が難解になっているケースも少なくない。しかし、本書の解説は驚くほど明快で、すんなりと胸に落ちてくる。



俳句添削教室 下

俳句添削教室 下
著者名    山口 誓子
出版者    埼玉福祉会
出版年月              1989.10

本書の特徴は、俳句で「一番伝えたいこと」を正確かつ魅力的に表現するために、極めて具体的な添削がなされている点にある。

「ここは言葉を尽くして丁寧に描写すべき」「こうした別の表現もある」「変に凝るよりも、素直に詠んだほうがいい」といったアドバイスが並ぶ。
例えば、「薄化粧をした富士」という比喩を用いた句に対し、「見たままに『雪を被る富士』としたほうがいい」と諭す場面がある。
私自身も似たような作句をしてしまった経験があり、下手な比喩はかえって作品を安っぽく(俗っぽく)してしまうのだと、深く考えさせられた。

添削本を読む際は、まず「自分ならどこが気になるか」「どう直すか」を考えてから著者の添削例や解説を見る。これこそが、最も血肉になる学び方だと実感する。

また、あとがきに記された「短詩は、少ない言葉を『てにをは』によって活かす。短歌は『てにをは』の詩と言われるが、俳句はそれ以上に『てにをは』の詩である」という言葉が深く印象に残った。
助詞一つで視点や印象がガラリと変わり、それに伴って語順や選ぶ言葉も変わっていく。一音たりともおろそかにしてはならないと、改めて身が引き締まる思いだ。

さらに本書では、「詠まれている自然の物と物とが『照応(響き合い)』していることこそが、俳句を俳句たらしめている」と説いている。
物と物の間に関連性がなく、ただ並べられているだけの俳句は「そもそも添削すらしない」という厳しい一喝もあり、作句に対する本質的な心構えを教えられた気がする。

このあとがきに込められた思想を何度も振り返りながら、改めて各添削を読み解くことで、山口誓子氏の思考をより深く追体験し、自分のものとして吸収できるのではないか。




狩行俳句入門

狩行俳句入門
著者名    鷹羽 狩行
出版者    ふらんす堂
出版年月              1997.12

鷹羽狩行氏は季語を極めて重要視しており、その添削でも「こちらの季語に変えたほうが、より情景や心情に広がりが出る」といった、季語の変更を伴う提案が多いのが特徴。

どのような季語を選ぶかは、俳句の本質に関わる。
だからこそ、本書は「季語の取り合わせが難しい」と感じている方にまさにうってつけの一冊。

また、具体的な添削例だけでなく、「上手い俳句とは何か」「写生とはどういうことか」「どうすれば上達するのか」といった、初心者が抱きがちな疑問に正面から答えるコーナーも設けられており、非常に学びの多い構成になっている。




添削でつかむ!俳句の極意

添削でつかむ!俳句の極意 NHK俳句 7つのメソッドで力がつく
著者名    高柳 克弘
出版者    NHK出版
出版年月              2023.10

理想の俳句に近づくためには、数多くの添削例に触れ、「推敲する力」を養うことが不可欠であると本書は説いている。

紙面では、久保田万太郎、飯田蛇笏、石田波郷、高浜虚子、松尾芭蕉、中村草田男といった、時代を築いた偉大な俳人たちが当時実際に行った添削例が紹介されている。
これら多様な巨匠たちの視点に触れることで、俳句に対する広く重層的なアプローチを学べるのが、本書の大きな特徴。

さらに、それぞれの俳人が残した「俳句とは何か」という本質的な作句理念(俳論)にも光が当てられており、非常に深い学びが得られる。
また、こうした歴史的な名句の検証だけでなく、高柳克弘氏による一般読者からの投句添削も掲載されており、現代の作句にも直結する実践的な参考書となっている。


俳句劇的添削術

俳句劇的添削術
著者名    井上 弘美
出版者    KADOKAWA
出版年月              2022.8

本書の最大の特徴は、作者と井上弘美氏との往復書簡を通じて、作品が仕上がっていくプロセスを追体験できる点にある。

まず、作者による原句とともに、それが詠まれた背景が詳しく綴られる。
これによって、一般的な添削本では見えにくい「原句が生まれた瞬間の状況」を深く理解することができる。

例えば、伝統行事の「野馬追(のまおい)」を詠んだ作品では、その歴史や行事の内容、その時作者が何を感じたのかまでが丁寧に描写されている。その上で、作者自身が推敲を重ねた「成句」も掲載されているため、作り手側の思考過程をリアルに辿ることができる。
そして井上氏の添削は、そうした背景をすべて汲み取った上で行われる。
「この題材を詠むのであれば、その情緒をより引き出すために、このような表現にしてみてはどうか」と、作者に寄り添いながら導いてくれる。

指導を受ける作者の真摯な姿勢と、井上氏の丁寧で温厚な眼差し。
その双方の熱量が伝わってくる、非常に好感の持てる一冊。


季語を生かす俳句の作り方

季語を生かす俳句の作り方
著者名    鷹羽 狩行
出版者    日本経済新聞社
出版年月              1998.2


掲載されている添削俳句は300句近くに及ぶ。その一つひとつに丁寧な解説を付して添削を行っているパワーには、ただただ圧倒される。

解説文も「なんとなく感覚でこちらのほうが良い」という抽象的なものではない。
「ここがこうだから機能していない」「この表現に変えれば、こういう理由で句が良くなる」と、すべてが論理的に説明されているため、非常に説得力があり勉強になる。


最後に

添削によって、自分の課題を発見し、自分の作品作りの力を高めることができる。
ただ、添削に全てを頼るのではなく、自分でも積極的に推敲をすること。その推敲で足りない部分を添削に頼るという流れがいい。




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季語が写真付きで掲載されているため、視覚的にもよく分かりますし
紹介されている俳句の解説も書かれているため、「こうやって鑑賞するんだ」と勉強になります

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