通常「露」といえば秋(8~10月)の季語になります
ただ、露は夏にも見ることができ、そちらは「夏の露」や「露涼し」という季語になっています
露の季語の中には、露葎や露時雨など、聞きなれない季語もあるので、それらの意味も含めて紹介します
俳句作りの参考になさって下さい
秋の露
露(つゆ)
大気中の水蒸気が冷えて、物の面に水滴になってついたもの
秋に多く見られるので、単に露といえば秋の季語となる
夏の朝晩に見られる露は、夏の露と呼ぶ
| りんどうの露のひとつぶ水の星 宇井十間 | - |
| 一度だけの妻の世終る露の中 能村登四郎 | 能村登四郎の句集(Amazon) >> |
| 自生する八千草なべて露の中 堺玲子 | 堺玲子の句集(Amazon) >> |
白露(しらつゆ、はくろ)
草木に置いて、白く光って見える露
露の美称
| 白露の日葦ことごとく風に伏し 新井秋芳 | 新井秋芳の句集(Amazon) >> |
| 白露の月窓にしみじみ帯を解く 河野多希女 | 河野多希女の句集(Amazon) >> |
| 虫たちの土に還りて白露なる 堺玲子 | 堺玲子の句集(Amazon) >> |
夜露(よつゆ)
夜間におりる露
朝露(あさつゆ)
朝おりている露
消えやすいことから、儚いものや命などにたとえられてきた
| 天窓に朝露つたふブルターニュ 小間さち子 | - |
| 朝露や胸を濡らせし泣き羅漢 井上とも子 | - |
露の玉(つゆのたま)
露を玉に見たてていう語
| 露の玉少し迷ひて流れけり 松下カロ | 松下カロの句集(Amazon) >> |
| 露の玉疾駆の鞭の多すぎし 宮坂静生 | 宮坂静生の句集(Amazon) >> |
| 草の端に留まりをりし露の玉 木幡忠文 | 木幡忠文の句集(Amazon) >> |
露けし(つゆけし)
露にぬれてしっとりしている状態
| 露けしやキリストの母釈迦の母 櫨木優子 | 櫨木優子の句集(Amazon) >> |
| 露けしや撞木の縄の宙とんで 桂信子 | 桂信子の句集(Amazon) >> |
露時雨(つゆしぐれ)
時雨が通り過ぎたあとのように、露があたり一面におりること
また、草木においた露が、時雨の降りかかるようにこぼれること
| センサーで街灯点る露時雨 三河晃 | - |
露葎(つゆむぐら)
露が残る葎(むぐら:密生して藪(やぶ)を構成する草)の様子を表す言葉
| 早立ちの声過ぎゆけり露葎 桂信子 | 桂信子の句集(Amazon) >> |
芋の露(いものつゆ)
露の多い晴れた朝、辺りの里芋畑の大葉にびっしりと置いたように玉の露が輝いている様子
| 芋の露ころげ落ちたる己が貌 渡辺草丘 | - |
| 芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏 | 飯田蛇笏の句集(Amazon) >> |
月の雫(つきのしずく)
露の異称
夏の露
夏の露(なつのつゆ)
夏の朝晩に露を見ることがある。これを夏の露と呼ぶ
朝など、野の露に手足が濡れて驚くことがある
露自体は秋に多く見られるので、単に露といえば秋の季語となる
露涼し(つゆすずし)
夏の日中の熱さは耐えがたいものがあるが
朝晩の気温の低下で涼しささえ感じられる
露が見られることがある
夏の爽快な気分を表している
露の有名な俳句
露の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きな露の俳句です
| 一度だけの妻の世終る露の中 能村登四郎 | 能村登四郎の句集(Amazon) >> |
| 白露や死んでゆく日も帯締めて 三橋鷹女 | 三橋鷹女の句集(Amazon) >> |

