俳句作り専門家が、「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名(歴史的仮名遣い)を徹底解説!!
この記事を読んでいただければ次の疑問が解消されます。
「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名の平仮名表記
「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名のカタカナ表記
「わいうえを」「やいゆえよ」のローマ字の書き方
「わゐうゑを」のパソコン入力方法
「わゐうゑを」の発音
「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名の平仮名表記
新仮名(ひらがな) | わいうえを | やいゆえよ |
旧仮名(ひらがな) | わゐうゑを | やいゆえよ |
上段が現在の平仮名、下段が昔の平仮名です。
赤文字の部分が、現在と昔で変化しているところです。
ワ行は変化していますが、ヤ行は変化していません。
「わいうえを」「やいゆえよ」の旧仮名のカタカナ表記
わいうえを | やいゆえよ | |
新仮名(カタカナ) | ワイウエヲ | ヤイユエヨ |
旧仮名(カタカナ) | ワヰウヱヲ | ヤイユエヨ |
上段が現在のカタカナ、下段が昔のカタカナです。
赤文字の部分が、現在と昔で変化しているところです。
ワ行は変化していますが、ヤ行は変化していません。
「わいうえを」「やいゆえよ」のローマ字の書き方
わいうえを | やいゆえよ | |
新仮名(ローマ字) | Wa I U E Wo | Ya I Yu E Yo |
わゐうゑを | やいゆえよ | |
旧仮名(ローマ字) | Wa Wi Wu We Wo | Ya Yi Yu Ye Yo |
新仮名と旧仮名では、赤文字の部分が変わります。
ただ、旧仮名の「わゐうゑを」をローマ字を書くことなどないので、ここは無視して大丈夫です。
書くことがあるのは、現在の「わいうえを」だけです。
「わゐうゑを」のパソコン入力方法
わゐうゑを | |
パソコン入力 | WA WI WU WE WO |
「ゐ・ゑ」は次のように入力します
WI → ゐ・ヱ
WE → ゑ・ヰ
「わゐうゑを」の発音
「わゐうゑを」の発音は、キーボード入力と同じ「WA・WI・WU・WE・WO」と昔は発音していましたが、現在は「WA・I・U・E・WO」です。
「ゐ・ゑ」を含む季語
俳句を作る際、句の中に必ず季語を一つ入れるというルールがあります。この時、旧仮名遣いで詠まれる俳句では、「い」や「え」ではなく、「ゐ」や「ゑ」を使う季語があることに注意が必要です。
現代の仮名遣いでは「い」と書く季語も、旧仮名遣いの俳句では「ゐ」と書かれる場合があります。
歳時記には多くの季語が載っていますが、新仮名遣いと旧仮名遣いが混在していることが多いので、俳句を作る際は、季語の正しい仮名遣いを自分で確認するようにしましょう。
「ゐ」「ゑ」を含む季語
「ゐ」や「ゑ」を含み、書く際に間違いやすい季語の例をいくつかご紹介します。
からくれない → からくれなゐ
あいまく(藍蒔く) → あゐまく
いせまいり(伊勢参) → いせまゐり
そめいよしの(染井吉野) → そめゐよしの
いちいの花 → ゐちいの花
えのころ草 → ゑのころ草
えんどう(豌豆) → ゑんどう
えくぼ花 → ゑくぼ花
えごの花 → ゑごの花
初えくぼ → 初ゑくぼ
このような、「い」や「え」を含む季語をひらがなで表記する際は、「ゐ」や「ゑ」に変化しないか必ず確認をしましょう。
季語を歳時記で探す人は多いと思いますが、歳時記に掲載されている季語の中には新仮名で表記されているものも多くあります。そのため、歳時記を鵜呑みにせず、ご自身で正しい旧仮名表記を確認することが不可欠です。
確認する方法は後述します。
下記の本では、旧仮名での表記が正しく書かれているため、間違わずに季語を使うことができます。

「ゐ・ゑ」を含む俳句
「ゐ」と「ゑ」は季語にだけ現れるわけではありません。俳句全体で旧仮名を使用する際には、季語以外の部分でも「い」や「え」の表記に注意が必要です。
「ゐ」「ゑ」を含む俳句
実際に「ゐ」と「ゑ」が使われている俳句を見てみましょう。
うつろの心に眼が二つあいてゐる 尾崎放哉 | 尾崎放哉の句集 (Amazon) >> |
この沢やいま大瑠璃鳥(おおるり)のこゑひとつ 水原秋櫻子 | 水原秋櫻子の句集 (Amazon) >> |
このように、季語ではない場所でも「ゐ」や「ゑ」は使われます。
そのため、句の中で「い」や「え」を使う際は、必ず「ゐ」や「ゑ」に変化しないかを確認するようにしましょう。
俳句作りで「い・え」と「ゐ・ゑ」を間違わないために
俳句を作る際に「い」「え」を使うことがあります。このとき、「い・え」が「ゐ・ゑ」に変化しないかどうか常に確認しなければいけないのは、「い・え」が必ず「ゐ・ゑ」に変わるわけではないからです。
「あいうえお」の「い・え」は、旧仮名でも「い・え」です
「やいゆえよ」の「い・え」は、旧仮名でも「い・え」です
旧仮名で「ゐ」や「ゑ」に変化するのは、「わいうえを」の「い」「え」だけです。
このように、一部の「い」「え」のみが「ゐ」「ゑ」に変わるため、旧仮名で俳句を作る際は、特に注意を払って正しい表記を確認する必要があります。
このように言うと「どうやって確認をすればいいの?」と、不安に思う人もいるかもしれませんが、心配いりません、簡単に調べる方法を紹介します。
「い・え」?「ゐ・ゑ」?確認方法
俳句を作る際に「い」「え」を使う場合、「い」「え」が旧仮名の「ゐ」「ゑ」に変わるかどうか数秒で調べられる方法があるので、ぜひ覚えておきましょう。
確認手順 (例:「いもり(井守)」の場合)
たとえば次の俳句を作ったとします
どことなく 待ちぼうけする いもり(井守)かな
↑
ここに「い」があるので、旧仮名で「ゐ」に変わらないかを確認してみましょう。
電子辞書で「ゐ・ゑ」を確認
①
検索窓に「いもり」と入力して検索します。

②
検索結果の中から「いもり(井守)」を選び、読み方が表記されている部分を確認します。

③
もし「い-もり ゐ…」のように「ゐ…」と表記されていれば、旧仮名では「ゐもり」と書くという意味です。
旧仮名でも「いもり」と書く場合は、「ゐ…」のような表記はありません。

このように、電子辞書を使えば、旧仮名の確認は容易です。 俳句で「い」や「え」の平仮名が出てきたら、旧仮名を確認する習慣をつけておくとよいでしょう。 電子辞書をお持ちでない方は、「俳句作りにおすすめの電子辞書」も検討してみてはいかがでしょうか。

無料のウェブ辞典でも同様に検索できますが、一点注意が必要です。その点を理解した上で活用するとよいでしょう。
ウェブ辞典で「ゐ・ゑ」を確認
電子辞書を使って、「い」「え」が旧仮名の「ゐ」「ゑ」に変わるか、確認する方法を紹介しました。
これと同じように、ウェブ辞典の「Weblio」や「コトバンク」でも確認は可能です。ただし、ウェブ辞典を使う際には、一つだけ注意点があります。
「Weblio」や「コトバンク」は、複数の辞書を横断的に検索して結果を表示します。しかし、横断検索される辞書の中には、旧仮名の読み方を表示しないものも含まれています。そのため、検索結果に旧仮名が表示されない場合でも、実際には旧仮名が存在する可能性があります。
つまり、「旧仮名が表示されていないから、現代と同じ表記でいいだろう」と思って書いたら、実は間違っていた、というケースが稀に発生しうるということです。
「Weblio」や「コトバンク」で検索し、複数の結果が表示された場合は、少々手間でも、念のため複数の結果を確認することをおすすめします。
「旧仮名」入門講座
今回の「ゐ・ゑ」のように、「古文の旧仮名遣いが分からなくて困っている」という方のために、俳句を詠むための旧仮名の使い方を、基礎から丁寧にお教えします。
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基礎をしっかりと学べるので、間違った言葉の使い方がなくなりますし
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