俳句では百合といえば夏の季語ですが、春にも百合の季語はあります
百合には種類があるため、その違いを俳句で使い分けるのは中々難しいものです
ここではそれぞれの百合の違いの他、百合の見分け方などを紹介します
俳句を作る際の参考になさってください
夏の百合
百合(ゆり)、百合の花(ゆりのはな)
ユリ科の植物で、夏にラッパ形の香り高い花を咲かせる
白に紅の斑がある山百合、黄赤に紫の斑がある鬼百合、花が大砲の筒のような鉄砲百合など、原種だけでも百種以上を数える
「ゆり」の語源は「揺り」で、「百合」の字を当てるのは、ゆり根の鱗茎の重なりあうさまからきている
かわたれの谷間の百合に浄雨来る 中井不二男 | - |
くもの糸一すぢよぎる百合の前 高野素十 | 高野素十の句集(Amazon) >> |
白百合(しらゆり)
白いユリの花
どしゃ降りや身ぐるみ脱いで白百合は 金原まさ子 | 金原まさ子の句集(Amazon) >> |
白百合やわが遺伝子のやがて屑 堀田季何 | 堀田季何の句集(Amazon) >> |
白百合や天使が触れて星宿る 小河原節子 | 小河原節子の句集(Amazon) >> |
鬼百合(おにゆり)
百合の一種。草丈は1~2m程となり大型。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。
茎は紫褐色で細かい斑点が特徴
日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われている
望岳のころの鬼百合おいらん草 和知喜八 | 和知喜八の句集(Amazon) >> |
鬼百合あれは出征前夜の父 石倉夏生 | 石倉夏生の句集(Amazon) >> |
鉄砲百合(てっぽうゆり)
葉が細く、花は白を基調とするものの薄い紫色の筋が入り、花被片は6枚
外側の花被片は橙褐色になり、花は横向きだが少し下に傾くことが多い
花びらの形がラッパに似ていることに由来
一夜明け向きを変へたる鉄砲百合 佐藤文子 | - |
宣誓は鉄砲百合の前でする 福島ときみ | - |
笹百合(ささゆり)、山百合(やまゆり)
日本特産で日本を代表するユリで、淡いピンク色の花を咲かせる
地域によっては、ヤマユリと呼ぶこともある
笹百合や田ごとに父祖の水鏡 猪又信之 | - |
笹百合を追うていつしか森の奥 森野稔 | - |
姫百合(ひめゆり)
数個の赤い6弁花を上向きにつける百合で、本州南部に自生する
他のユリに比べてやや小ぶりで可憐な花姿から、観賞用に栽培もされる
姫小百合(ひめさゆり)、乙女百合(おとめゆり)
日本固有種のユリの中ではもっとも早咲く
花色は淡ピンクから濃ピンクで斑点はなく、雄しべは黄色、ほのかに甘い香りがある
新潟・福島・山形県の山地などに自生する
車百合(くるまゆり)
葉は披針形で輪生し、6枚の花被片はオレンジ色で、濃紅色の斑点がある
花弁は強く反り返る
鹿の子百合(かのこゆり)
甑島列島で多く自生する
草丈は1〜1.5m、約10cmの花弁に鹿の子模様の斑点があり、名の由来になっている
観賞用に栽培もされる
透百合(すかしゆり)
赤褐色の斑点を持つ橙色の花で、花弁の付け根付近が細く、隙間が見えることから「透かし」百合と呼ばれる
高さ約30センチ。葉は細長い。初夏、黄赤色の花を2、3個上向きにつける
高砂百合(たかさごゆり)
葉は細く、トランペット型の花には赤い筋が入る。香りはすくない。
日当たりの良い土地に生えるが、石垣にも崖地にも生える
山百合(やまゆり)
北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する百合
名は山中に生えることに由来
どちらかといえば山百合症候群 増田萌子 | - |
籠に挿せる山百合搖らし農婦来る 小嶋信太郎 | - |
春の百合
稚児百合(ちごゆり)
ユリ科の多年草で、林や山林、丘陵などの木の下の比較的明るいところに自生する
高さは二十センチ前後で、二センチほどの白い可憐な花をつける
百合の見分け方
日本の百合は大きな三分類があり、そこから細かく分かれます
写真と共に特徴の違いをまとめていますので、参考になさってください
それぞれの花の違いを理解して俳句が作れるようになると、さらに俳句作りが楽しくなります
百合の有名な俳句
百合の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きな百合の俳句です
すぐひらく百合のつぼみをうとみけり 安住敦 | 安住敦の句集(Amazon) >> |