多作多捨とは?
「多作多捨」とは、俳句の世界でよく耳にする言葉で、「たさくたしゃ」と読みます。たくさんの作品を作り、その中から良いものを選び出し、そうでないものは捨てるという意味です。まるで宝石を磨くように、何度も試行錯誤を繰り返しながら、より良い作品へと近づいていくための大切な考え方です。
なぜ多作多捨が大切なの?
- 量産することで、より多くの経験値を得られる:様々な題材や季語に挑戦することで、表現の幅が広がり、自分の言葉で世界を切り取る力が養われます。
- 良い作品を見つけるためのフィルターになる:たくさんの作品を作る中で、何が良く、何が悪いのかという感覚が研ぎ澄まされます。
- 表現の幅を広げる:様々な角度から題材を見つめることで、新しい発見やアイデアが生まれやすくなります。
多作多捨と濫作の違い
「多作」と「濫作(らんさく)」は、似ているようで大きく異なります。
- 多作:質の高い作品を生み出すために、量をこなすこと。
- 濫作:量だけを追い求め、中身のない作品を大量に作ること。
多作多捨の目的は、決して「数をこなすこと」ではありません。質の高い作品を生み出すために、量をこなすことが大切なのです。
多作多捨と実践するためのヒント
- 毎日一句:毎日少しずつでも良いので、俳句を作る習慣をつけましょう。
- テーマを決める:季節の季語、身の回りの出来事など、テーマを決めて作句すると、集中しやすくなります。
- 句会に参加する:他の人の作品に触れることで、自分の作品を見つめ直すきっかけになります。
- 多読多憶:たくさんの俳句を読むことで、言葉の選び方や表現の仕方などを学びましょう。
波多野爽波の言葉
俳人・波多野爽波は、多作多捨を特に重要視した一人です。爽波は、「多作多捨」と「多読多憶」はセットでなければいけないと説いています。つまり、たくさんの作品を作り、同時にたくさんの俳句を読んで、自分の作品を見つめ直すことが大切なのです。
多作多捨に対する誤解を解く
「どうせ捨てるのなら、たくさん作っても意味がない」という意見もありますが、これは多作多捨に対する誤解です。多作多捨は、単に数をこなすだけでなく、作る過程で様々な気づきを得て、成長していくためのものです。
まとめ
多作多捨は、俳句の上達を目指す人にとって、なくてはならない考え方です。たくさんの作品を作り、試行錯誤を繰り返すことで、自分だけの言葉で世界を切り取る力が養われます。ぜひ、あなたも多作多捨を実践し、俳句の世界を楽しんでください。