俳句では一句の中に、二つの対になる事柄を入れて面白さを出すことがあります
対義語の取り合わせとも言えます
例えば、「長・短」、「高い・低い」、「暗い・明るい」などを取り合わせます
真逆の事柄を一句の中に入れることで、一番言いたいことの位置関係が鮮明になります
「明るい」ということを言いたいとします
そのとき、同じ句の中に「暗い」という情報が入っていると
読者は「暗い」という情報と比較することができるので、明るさが際立つことになります
例えば次の句は、大きなものと、小さなものを取り合わせています
寒風や砂を流るる砂の粒 石田勝彦
「寒風」という大きなものと、「砂の粒」という小さなものを組み合わせていることで、「砂の粒」の小ささが際立ちます
「長」+「短」
「高い」+「低い」
「暗い」+「明るい」
これらは、視覚的に反対の事柄ですが
視覚的なものでなくても構いません
相反する感情を同時に一句に入れることで、俳句に面白さを入れることもできます
「緊張」する事柄と、心が「緩む」事柄の取り合わせもいいでしょう
「落雷(緊張)」+「友人からの手紙(緩和)」
落雷が起きて緊張感が高まりますが、その時に、懐かしい友人からの手紙が来て緊張感が緩む
この相反する心の変化で、読者に面白さを感じてもらうのです
実例としては、このような句があります
しんしんと寒さがたのし歩みゆく 星野立子
「しんしんと寒さが・・・」まで読むと、普通は物寂しい感じ、身の縮む感じがするものですが
ここから突然「たのし」という真逆の言葉が飛び込むことで
読者ははっとさせさられます
このような作り方は、俳句作りの一つの技法にもなっています
真逆の事柄を使って、いろいろな俳句を作ることで表現の幅が広がります
ぜひ試してみてください