俳句を作るとき、季語は作品の要とも言えます。しかし、歳時記には主季語が主に解説されており、子季語については不明な点も。このページでは、初心者の方でも安心して俳句を詠めるように、子季語の意味も丁寧に説明しています。
「鷽」の季語
下の表では、一番上の「鷽」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。
《 春 》
鷽【うそ】 | あとり科の小鳥。体は青灰色で、雄は腹面に淡紅色の部分がある。口笛を吹くような声で鳴く。 |
鷽鳥(うそどり) | 鷽のこと。 |
琴弾鳥(ことひきどり) | 鷽の異名。ウソの鳴く時の仕草が琴をつまびくように見えるため。 |
鷽の琴(うそのこと) | 鷽の異名。ウソの鳴く時の仕草が琴をつまびくように見えるため。 |
照鷽(てりうそ) | ウソの雄のこと。 |
雨鷽(あめうそ) | ウソの雌のこと。 |
鷽姫(うそひめ) | ウソの別名。姿かたちが美しく、艶のある鳴き声から。 |
照鷽と雨鷽について
「照鷽」はウソの雄、「雨鷽」はウソの雌を指す季語です。
ウソの雄は頬が赤く、太陽が当たっているように見えることから「照鷽」と呼ばれるようになりました。一方、雌は黒や灰色の地味な体色をしていることから「雨鷽」と呼ばれるようになったのです。
「照鷽」は「晴鷽」とも呼ばれることがあります。雌の「雨鷽」に対する言葉で使われています。
このような語源を知ることで、季語選びがより楽しくなり、俳句の世界が深まります。例えば、「雨鷽の 雨を嘆いて 鳴きにけり」という句では、「雨」という言葉が、実際の雨だけでなく、雌の暗い体色も表しています。このように、語源を知っている人だけが分かる多義性を俳句に用いることで、より奥深い作品を生み出すことができます。
俳句を作る上で、語源を知っていることは必須ではありません。 しかし、語源を知ることで、季語の持つ意味やイメージをより深く理解し、俳句の世界を広げることができます。
『四季を語る季語』には、このような語源も書かれていますので、俳句作り役立つはずです。
「鷽」関連の俳句
「鷽」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。
「鷽」の例句
鷽鳴くや山懐の樒畑 三代川次郎 | - |
鷽鳴くや日を存分に山の神 岡田万壽美 | 岡田万壽美の句集(Amazon) >> |
宿り木に鷽の飛び来る忌日かな 渡辺政子 | - |
「照鷽」の例句
ものおぢのなき照鷽の声なりし 溝口八重子 | 溝口八重子の句集(Amazon) >> |
照鷽や四阿兼ねし物見台 伊藤葉 | - |
季語探しの強い味方『四季を語る季語』
季語を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、従来の歳時記には子季語の意味が詳しく記載されていないため、適切な季語を選ぶのが難しいという課題がありました。
『四季を語る季語』は、全ての子季語の意味を網羅することで、この課題を解決し、よりスムーズな季語選択を可能にします。
↓↓下の本がそうです。