「葭簀」と子季語の意味

季語と子季語のそれぞれの意味

季語の中には、子季語として歳時記に掲載されているものもありますが、その意味が詳しく説明されていない場合もあります。子季語の意味を知ることで、より良い俳句を作ることができるので、今回はよく使われる主季語と子季語の意味をまとめてみました。

「葭簀」の季語

下の表では、一番上の「葭簀」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。


《 夏 》

葭簀【よしず】ヨシの茎で編んだすだれ。人目や日ざしをさえぎるのに使われる。
葭簀掛(よしずがけ)葭簀を掛けること。
葭簀小屋(よしずごや)よしずで囲ってある小屋のこと。
葭簀張(よしずばり)よしずで小屋などを囲うこと。
葭簀茶屋(よしずぢゃや)葭簀をめぐらした茶屋。




葭簀小屋(よしずごや)について

「葭簀小屋」という季語は、葦簀(よしず)で囲まれた小屋を指します。日常会話では「よしずで囲った小屋」と説明する方が分かりやすいですが、俳句では「葭簀小屋」というたった一つの言葉に、夏の情景やそこに漂う涼しげな雰囲気を凝縮します。

俳句は短い言葉で情景を描き出す芸術なので、「よしずで囲った小屋」のように言葉数が多く、説明的な表現は避けた方が上手くいくことがあります。

「葭簀小屋」のように、一つの言葉で情景や対象を表現する季語は他にもたくさんあります。季語を見るときに意識してみてください。


「葭簀」関連の俳句

「葭簀」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。

「葭簀」の例句

葭簀囲ひ種苗保存の秋田蕗 松崎鉄之介松崎鉄之介の句集(Amazon) >>
葭簀より童現はれ仔犬出で 藤田宏藤田宏の句集(Amazon) >>
真昼間の葭簀の冥さレモン切る 戸田春月戸田春月の句集(Amazon) >>


「葭簀掛」の例句

まほろばの葭簀掛なる煮麺屋 西村節子 - 


「葭簀小屋」の例句

葭簀小屋岬の風に膨らみぬ 山田弘子山田弘子の句集(Amazon) >>
三つ四つの投網を吊るし葭簀小屋 大崎紀夫大崎紀夫の句集(Amazon) >>


「葭簀張」の例句

葭簀張り終へて明日より苗木市 深田一灯 - 
魚河岸のコーヒー店の葭簀張り 隈部郁子 - 
沢庵和尚の植ゑし佗助葭簀張り 太田絵津子 - 


「葭簀茶屋」の例句

葭簀茶屋手書きメニューの気安くて 中野英歩 - 
朝採りの山菜を売る葭簀茶屋 金子知代 - 


季語探しの強い味方『四季を語る季語』

季語を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、従来の歳時記には子季語の意味が詳しく記載されていないため、適切な季語を選ぶのが難しいという課題がありました。

『四季を語る季語』は、全ての子季語の意味を網羅することで、この課題を解決し、よりスムーズな季語選択を可能にします。

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