「湯帷子」と子季語の意味

季語と子季語のそれぞれの意味

季語の子季語は、歳時記に掲載されていても、意味が詳しく説明されていないことがあります。間違った意味で使うと、意図しない俳句になってしまうことも…。そうならないために、今回はよく使われる主季語と子季語の意味をまとめてみました。

「湯帷子」の季語

下の表では、一番上の「湯帷子」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。


《 夏 》

湯帷子【ゆかたびら】入浴の際、または入浴後に着る麻や木綿の単 (ひとえ)。
浴衣(ゆかた)ゆかたびら(湯帷子)の略。
初浴衣(はつゆかた)初めて着る浴衣。
藍浴衣(あいゆかた)藍色に染めた浴衣。
古浴衣(ふるゆかた)古い浴衣。
貸浴衣(かしゆかた)旅館、料亭などで客に貸す浴衣。
宿浴衣(やどゆかた)旅館、料亭などで客に貸す浴衣。




初浴衣について

「初浴衣」という季語は、その年に初めて着る浴衣のことを指し、夏の季語です。新しい浴衣を身につけ、夏の訪れを感じ、心も体もリフレッシュするような、すがすがしい気持ちを表します。

俳句で「初浴衣」を使う際は、単に「新しい浴衣を着る」という事実だけでなく、そこに込められた高揚感や期待感、そして夏の到来への喜びなどを表現することで、より豊かな作品になります。例えば、「初浴衣 少しだけ帯 直しけり」のように、綺麗に着たい様子を帯を直す仕草に重ねて詠むことができます。


古浴衣(ふるゆかた)について

「古浴衣」という季語は、単に古い浴衣という意味ではなく、少し古い柄やデザインの浴衣を指します。つまり、着古して汚れているというわけではなく、むしろ、その古びた風合いが味わい深いというニュアンスを含んでいます。

俳句で「古浴衣」を選ぶことで、その浴衣がどのような経緯で手に入ったのか、例えば、お母さんから譲り受けたものなのか、それともおばあちゃんの箪笥から出てきたものなのか、といった背景を想像することができます。単に「浴衣」と表現するよりも、その浴衣に込められた思い出や物語を表現し、読者に深い感動を与えることができます。


「湯帷子」関連の俳句

「湯帷子」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。

「湯帷子」の例句

「浴衣」の例句

宿坊の隷書つなぎの浴衣かな 角川照子角川照子の句集(Amazon) >>
浴衣の子家の中でも下駄履いて 世古口洋子 - 


「初浴衣」の例句

初浴衣風に染まりてをりにけり 関口幹雄 - 
初浴衣傘寿祝がるるちやつきり節 松崎鉄之介松崎鉄之介の句集(Amazon) >>


「藍浴衣」の例句

ひととせはかりそめならず藍浴衣 西村和子西村和子の句集(Amazon) >>
生き堪へて身に沁むばかり藍浴衣 橋本多佳子橋本多佳子の句集(Amazon) >>
藍浴衣夜風自在に家通る 桂信子桂信子の句集(Amazon) >>
阿亀に似たる信濃の妹の藍浴衣 星野明世星野明世の句集(Amazon) >>


「古浴衣」の例句

古浴衣もつとも好み給ひける 今井千鶴子今井千鶴子の句集(Amazon) >>
俳諧に余生を遊ぶ古浴衣 木村享史木村享史の句集(Amazon) >>


「貸浴衣」の例句

岩盤の宿にころがり貸浴衣 イザベル真央イザベル真央の句集(Amazon) >>


「宿浴衣」の例句

一遍上人(いっぺん)に長き脛あり旅浴衣 松本勇二松本勇二の句集(Amazon) >>
夜鷹啼きこはばり強き宿浴衣 鎌田亮鎌田亮の句集(Amazon) >>



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