「俳句季語よみかた辞典」に「斑雪凍つ」という季語が紹介されています 1)
意味は、まだらに積った春雪の情景、とあります
この季語ですが、次の3つの理由で、季語に慣れていない人が使うのは難しいと思います
1 季語自体が季重なり
2 重なった季語の季節が違う
3 類似の季語と比較すると、季語が弱い
1季語自体が季重なり
「斑雪凍つ」は、この言葉自体が季重なりになっています
「斑雪」も「凍つ」も季語であるため、うまく使わないと失敗する可能性が大きいでしょう
2 重なった季語の季節が違う
「斑雪」と「凍つ」はどちらとも季語ですが、それぞれの季節が違います
「斑雪(はだら)」は、春の季語
「凍つ」は、冬の季語
季節が違うため、季感を感じさせるのに苦労するでしょう
3 類似の季語と比較すると、季語が弱い
「斑雪凍つ」に似た季語として「凍雪」があります
凍雪は積もった雪が夜間の冷え込みで凍り付いたもので、冬にみられる景
一方で、斑雪凍つは春の暖かさでまだらに解けた雪が凍り付いたもの
暖かくて解けることと、凍ていることが混ざっていることの違和感がどうしてもあります
もちろん夜間の冷え込みで凍てることはありますが
「凍雪」という印象の強い季語があるため、「斑雪凍つ」はどうしても季語が弱く感じてしまいます
このような理由もあり、この季語を使うのは難しいと思うのですが
使っている人がまったくいない、という訳ではありません
斑雪凍つ睡眠薬を買ひに出て 大野林火
このように、使われている例もあります
難しい季語を承知のうえで、新しい季語に挑戦したい
他の人が使わない季語を使いたい
という人は積極的に使ってみてください
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1)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.