季語の、蘆の神輿(あしのみこし)は神輿ではない?

 

「津島祭」という季語があります

夏に愛知県津島市で行われる祭りです

「角川俳句大歳時記」では、この関連季語に「蘆の神輿(あしのみこし)」を紹介しています 1

(季語には「蘆の御輿」、解説では「蘆の神輿」と書いているので、「蘆の神輿」と書きます)

 

これは一般的に祭りの中で人々が担ぐ木製の神様の乗り物のことではありません

神が蘆の葉に乗って表れたという伝説の、蘆の葉を「蘆の神輿」と呼んだものです

 

歳時記の考証に、そのように書かれています

年浪草「神翁一人、葦の葉に乗じて浮かび、その名を自ら名乗り、後に馬津の居森の窟を柄としたまふと、云々。これらの神縁をもって蘆の神輿と称するにあるにや」 1)

 

「増補俳諧歳時記栞草()」の著者も、「蘆の神輿」というものを調べたようで

本の中で、「御葦の神事はあるが、芦の神輿みれず」と書いています 2)

 

津島祭で神輿の俳句を詠むとき、渡御している神輿に「蘆の神輿」という名前はついていないので、間違って使わないように気を付けましょう

 

 

 

季語を詳しく知りたい方は、「四季を語る季語」をお勧めします

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1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.

2)曲亭馬琴編.藍亭青藍補.増補俳諧歳時記栞草().八坂書房.p146




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