俳句は「自分らしさ」を追い求めた方がいい

個性的じゃなくていい、自分だけの俳句を追求しよう

俳句を作るとき、「個性的な作品を作らなくちゃ」と悩んでいませんか?

「誰も思いつかないような言葉を使ってみようか」「斬新な表現に挑戦してみようか」と考える人もいるかもしれません。

しかし、個性やオリジナリティを追い求めすぎると、かえって俳句の本質から離れてしまうことがあります。この記事では、俳句で本当に大切にすべきは「自分らしさ」だということを、初心者の方にもわかりやすく解説します。

なぜ「個性的」な俳句は難しいのか?

「個性」とは、自分だけのユニークな考え方や感情を指します。これをたった17音で表現しようとすると、どうなるでしょうか。

例えば、

  • 誰も使わないような専門用語を使う
  • 難解な漢語や横文字を取り入れる

このように、表現を工夫することで個性を出そうとする人がいますが、それは「個性」ではなく、単に「変わった言葉遣い」になっているだけかもしれません。

鑑賞者は、その言葉が持つ意味や背景を理解できず、結果として作者の意図が伝わらない句になってしまいます。

また、「オリジナリティ(独創性)」を追い求めすぎると、

  • 五七五の定型を無視する
  • 文法として成り立たない言葉の組み合わせを作る

といった失敗につながることがあります。

これらは、もはや俳句のルールから外れてしまっているため、文学作品として成り立たない、鑑賞者を無視した自己満足の作品になってしまう危険性があります。

追い求めるべきは「自分らしさ」

俳句で本当に大切にすべきは、「ありのままの自分」を表現することです。自分らしさとは、特別な考え方や感情ではなく、これまでの経験や積み重ねから生まれた、あなた自身の「ものの見方」や「感じ方」のことです。

俳句は、その瞬間に見た景色や情景をありのままに詠み、そこから生まれた感情を鑑賞者に想像させる文芸です。

例えば、有名な俳句に、

古池や蛙飛び込む水の音

この句には、作者である松尾芭蕉の特別な思想や感情は直接書かれていません。ただ、古池に蛙が飛び込む様子と、その音をシンプルに描写しているだけです。

しかし、この句を読んだ人は、静寂な古池に響く「水の音」から、それぞれが独自の情景や感情を思い浮かべます。これこそが、俳句の醍醐味です。

あなたにしか見えない景色、あなたにしか感じられない感動を、ありのままに詠んでみましょう。それが、誰にも真似できない、あなただけの俳句になるのです。

「自分らしさ」を見つけるための2つのヒント

もし「自分らしさってなんだろう?」と悩んだら、次の2つの視点を持ってみましょう。

  1. 「なぜ・どうして?」を深く考える
    あなたが好きなもの、感動したものについて、「なぜこんなに心惹かれるんだろう?」と自問してみてください。
    その答えの中には、あなたの過去の経験や価値観が隠れているはずです。
    ただ漠然と詠むのではなく、その根底にある理由を理解することで、より深い俳句が生まれます。
  2. 視点を深く持つ
    目の前の風景を見て「はっと」した瞬間、その「はっと」の理由を考えてみましょう。
    何があなたの心を動かしたのか、その感動の源はどこにあるのか。
    それを言葉で表現できれば、それはまさにあなたにしか詠めない、唯一無二の作品になります。

他人の評価を気にせず、ありのままの自分を表現する。これこそが、俳句作りで最も大切なことです。

さあ、あなたの「好き」や「感動」を、そのまま17音に込めてみませんか?


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