新年の季語の謎! 季語「鼓餅」とは

「鼓餅」とは

新年を詠む季語には、私たちの身近なものがたくさんあります。お正月の間に搗(つ)くお餅もその一つで、「若餅(わかもち)」という季語で親しまれています。

そんな「若餅」の子季語として、歳時記に「鼓餅(つづみもち)」という言葉が載っているのを見たことがあるかもしれません。 1.2.3)
しかし、この「鼓餅」という言葉は、私たちの日常ではほとんど耳にしません。一体どんなお餅なのでしょうか?


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謎の季語「鼓餅」の正体

いくつかの歳時記を調べてみても、「鼓餅」は「若餅と同じ」とだけ書かれており、その由来や意味についての詳しい解説は見つかりません。

実は、この「鼓餅」という言葉は、歳時記に一度だけ登場して以来、現代の歳時記にそのまま引き継がれてきた可能性が高いのです。

  • 『新脩歳時記』に、初めて「若餅」の関連季語として「鼓餅」が掲載されていますが、解説は「若餅に同じ」とあるだけです。
  • 一般的な辞書やウェブサイトで「鼓餅」を検索しても、お正月のお餅を指す言葉としては見つかりません。

このことから、「鼓餅」が「若餅」の別称として広く使われていた、という確かな証拠は今のところないようです。

季語の「真偽」を考える面白さ

歳時記に載っている季語は、長い歴史の中で編纂されてきた言葉の宝庫です。しかし、中にはこの「鼓餅」のように、由来がはっきりしない、あるいは時代と共に使われなくなった言葉が含まれていることがあります。

これは決して「間違い」というわけではなく、言葉や文化が移り変わる様子を物語っている、と言えるかもしれません。

もしあなたが俳句で「鼓餅」を使いたいと思ったなら、この言葉の持つ謎や背景を理解した上で、自分なりに解釈して詠んでみるのはどうでしょうか。

  • 鼓のように丸く膨らんだお餅
  • 新年の祝いの音(鼓)を象徴するお餅

このように、言葉の持つ音や形から、新しいイメージを広げてみることができます。

季語を学ぶことは、言葉の探検です。歳時記に載っている言葉を鵜呑みにするのではなく、その言葉に隠された謎を自分で解き明かしていく。その小さな探求が、あなたの俳句をさらに豊かなものにしてくれるはずです。



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参考資料

1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.
2)飯田蛇笏,富安風生.(2012).平凡社俳句歳時記新年.平凡社.
3)改造社.(昭和8).俳諧歳時記 新年之部.改造社.





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