俳句を作るとき、どこに季語を置くか迷いますよね。実は、季語は音の数によって置きやすい場所があります。
特に1音の季語は、置き方を工夫すると俳句がぐっと作りやすくなります。
8音の季語の置く場所
季語の音が8音以上になると、俳句に収めるのが難しくなりますが、いくつかのポイントを押さえることで、自然に句に溶け込ませることができます。考え方は主に二つあります。
①句またがりを活かして配置する
②「4音+4音」の構成を活かして中七に置く
句またがりを活かして配置
8音の季語は、句の始まり(上五)か終わり(下五)に置くのが基本です。この場合、字余りや句またがりになりますが、季語の音の区切りと句の区切りを合わせることで、リズムを良くすることができます。
例えば、「虫歯予防デー(むしばよぼうでー)」の場合、「むしば・よぼうでー」という区切りを意識し、下五に置くことで、後半のリズムが良くなります。
〇〇〇〇〇 / 〇〇〇むしば / よぼうでー
一方、「ゴールデンウィーク」のような季語は、上五に置くことで自然なリズムを生み出します。
ゴールデン / ウィーク〇〇〇〇 / 〇〇〇〇〇
このように、季語の音の区切りを意識して配置することで、句またがりでも違和感なく読めるようになります。
「4音+4音」の構成を活かして中七に置く
通常、中七が字余りになるのは避けるべきとされますが、8音の季語の中でも、「4音+4音」のように、二つの言葉から構成されているものは、中七に置くことができます。
例)
憲法記念日(けんぽう・きねんび)
林間学校(りんかん・がっこう)
緑の週間(みどりの・しゅうかん)
これらを中七に置くと、「五・四・四・五」という、中央を境に音が対称的な美しい構成になります。
〇〇〇〇〇 / けんぽう・きねんび / 〇〇〇〇〇
この配置は、句全体に安定感と心地よいリズムを与え、中七の字余りを解消してくれます。
8音の季語を使った俳句
8音の季語を使った俳句を見てみましょう。
上五に置く
ゴールデンウィーク明けの財布尻 荒井恒友
ゴールデンウイーク大きな水溜り 杉浦圭祐
下五に置く
血糖値高きへバレンタインデー 楠美葩緒
人参をうさぎにバレンタインデー 星野麥丘人
「4音+4音」の季語を中七に置く
わが家の憲法記念日肉こがす 大西昇月
降り立てば憲法記念日故国の灯 河内童楽
8音の季語の紹介
8音の季語の一覧を載せたので、その季語で俳句を作ってみましょう。
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春 |
8音萍生ひ初む(うきくさおいそむ)、北野菜種御供(きたのなたねごく)、建国記念日(けんこくきねんび)、憲法記念日(けんぽうきねんび)、嵯峨大念仏(さがだいねんぶつ)、山帰来の花(さんきらいのはな)、地虫穴を出づ(じむしあなをいづ)、鎮花祭(はなしずめまつり)、バレンタインデー(ばれんたいんでー)、安良居祭(やすらういまつり)、ゴールデンウィーク(ごーるでんうぃーく)、緑の週間(みどりのしゅうかん)、龍天に昇る(りゅうてんにのぼる) |
夏 |
8音烏瓜の花(からすうりのはな)、鞍馬の竹伐(くらまのたけきり)、忍冬の花(すいかずらのはな)、虫歯予防デー(むしばよぼうでー)、山法師の花(やまぼうしのはな)、林間学校(りんかんがっこう)、夏期講習会(かきこうしゅうかい)、狐の提燈(きつねのちょうちん)、愛鳥週間(あいちょうしゅうかん)、昆虫採集(こんちゅうさいしゅう) |
秋 |
8音鞍馬の火祭(くらまのひまつり)、震災記念日(しんさいきねんび)、八朔の祝(はっさくのいわい)、六斎念仏(ろくさいねんぶつ)、終戦記念日(しゅうせんきねんび)、八幡放生会(やはたほうじょうえ) |
冬 |
8音神等去出の神事(からさでのしんじ)、寒中水泳(かんちゅうすいえい)、ボジョレー・ヌーヴォー(ぼじょれーぬーぼー) |
新年 |
8音穂俵飾る(ほんだはらかざる) |
まとめ
8音の季語を使う場合は
①句またがりを活かして配置する
②「4音+4音」の構成を活かして中七に置く
このように工夫することで、リズムを崩さずに句を完成させやすくなります。
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それぞれの音数に合わせた季語の配置方法を、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
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