「蛙」の季節ごとの季語

四季で見られる季語

単に蛙というと春の季語ですが、夏にも蛙に関連する季語が存在します。蛙が春の季語とされるのは、主に3月頃、その年の最初に鳴き声を聞くことからきています。初燕や初蝶のように、一年の中で最初に目にするという事象を重んじる日本の風習が、蛙を春の季語とする理由の一つと言えるでしょう。

(春の季節の)蛙

蛙(かえる、かわず)

蛙は、田に水が張られるころ、雄は雌を求めてさかんに鳴き始める
昼夜の別なくなき続け、のどかさを誘う
「かはず」はもともとカジカガエルのことをさしていたが、平安時代から一般の蛙と混同されるようになった。


遠蛙(とおかわず)

遠くから聞こえるカエルの声のこと


殿様蛙(とのさまがえる)

体長5~9センチ
背面は緑色ないし褐色で黒色斑紋があり、背の中央を黄色の線が走る
腹面は白または淡黄色
金線蛙(きんせんかへる)とも呼ぶ



赤蛙(あかがえる)

体長4~7センチ
背面は赤褐色で、目の後方からのびて体側を走る一対の背側線はほとんど曲がらない
日本のカエル類では最も早い2月ごろに産卵
本州・四国・九州の平地に分布



土蛙(つちがえる)

体長約4~6センチ
背面は暗褐色で線状やいぼ状の突起があり、腹面は灰色で斑紋が散在。4~6月ごろ産卵、おたまじゃくしのまま越冬し、翌年成体となる
本州以南に分布
いぼかへるとも呼ぶ




初蛙(はつかわず)

春になると田んぼに水が張られ、繁殖期を迎えた蛙(かはず・かえる)たちが、元気よく鳴きはじめる
その年に初めて聞く蛙の声を初蛙


昼蛙(ひるかわず)

昼に聞く蛙の声を昼蛙なという

夕蛙(ゆうかわず)

夕方に聞く蛙の声を夕蛙なという


夜蛙(よるかはわず)

夜に聞く蛙の声を夜蛙なという


筒井の蛙(つついのかわず)

井戸の中の蛙


蛙合戦(かえるがっせん)

繁殖期に一斉に水場に来てオスがメスを奪い合うこと
蛙軍(かえるいくさ)に同じ


鳴く蛙(なくかわず)

オスが鳴いてメスが選ぶこと
カエルの繁殖スタイル
オスの喉にある鳴(めい)のうと呼ばれる音を反響させて大きな鳴き声を出す


苗代蛙(なしろかわず)

田植までの間、稲の苗(なえ)を育てるための田(苗代)にいる蛙のこと
通常、この時期はまだお玉杓子であることが多く
成長の早い個体が蛙となっている


田蛙(たかわず)

田に水が張られるころ、雄は雌を求めてさかんに鳴き始める



(夏の季節の)蛙

夏蛙(なつがえる)、夏の蛙(なつのかえる)

夏に見られる蛙
夏は活動が最も活発になり、池や沼、水田などで蛙の姿を見かける

雨蛙(あまがえる)

小形の、かえるの一種。体は緑色であるが、周囲の状態によって変色する
指には吸盤が発達。草原・林にすみ、湿度に敏感で雄は夕立前によく鳴く



枝蛙(えだかわず)

雨蛙の別称
樹上から卵を水中に落として産卵する
この時に枝にいる姿を見かける


青蛙(あおがえる)

背が緑色、腹が白く、アマガエルに似て少し大形




河鹿(かじか)、河鹿蛙(かじかがえる)

鳴き声がシカに似ており、川の鹿という意味で河鹿(かじか)と呼ばれる
フィー、フィーという鹿のような美しい鳴き声




河鹿笛(かじかぶえ)

河鹿を捕まえるときに吹く笛のこと





蟇(ひきがえる)、蝦蟇(がま)、蟾蜍(ひきがえる)、蟾(ひき)

体が大きく、皮膚にはいぼがたくさんある
竹藪や林に棲み、普段はあまり水に入らない
頭の両側から白色の毒液を出して難をのがれる
夜行性





牛蛙(うしがえる)

背面は褐色または緑〜暗緑色で黒褐色の斑紋がある
平地の池に多く、夜間、ウシに似た大きな声で鳴く
昆虫・魚介類を捕食








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