俳句では「雷」といえば夏の季語ですが、雷は四季のそれぞれに季語があります
「雷」に関連する季語には、「はたた神」や「稲の殿(いねのとの)」といった、少し意味の分かりづらいものもあります
ここでは、初めて目にする季語でもすぐ使えるように、関連季語のすべての意味をまとめています
俳句を作る際の参考になさってください
春の雷
春の雷(はるのらい)、春雷(しゅんらい)
3月から5月頃に発生する雷
寒冷前線の通過時に発生する界雷で,この雷雨はよくひょう(雹)を伴う
春の到来を伝える雷である
| あえかなる薔薇撰りをれば春の雷 石田波郷 | 石田波郷の句集(Amazon) >> |
| あした行く方より聞こゆ春の雷 近藤さちこ | - |
初雷(はつらい)
立春以降、その時にはじめて鳴る雷
| 初雷や母の遺影の固き笑み 篠田清美 | 篠田清美の句集(Amazon) >> |
虫出しの雷(むしだしのらい)
春雷の別称
雷鳴に驚き冬眠していた地中の虫たちが目ざめるという理由で「虫出しの雷」とも呼ばれる
| 虫出しの雷よみかけの本ひらく 小原芳子 | - |
夏の雷
雷(かみなり、らい、いかづち)
積乱雲の中などで雲と雲、雲と地上の間で放電現象が起きたもの
電光が走った後に雷鳴がとどろく
光と音の時間差でその遠近を測る
| 凱旋門敗者もくぐる雷を追い 中島斌雄 | 中島斌雄の句集(Amazon) >> |
| 夜の雷身辺に師の封書おく 桂信子 | 桂信子の句集(Amazon) >> |
| 雷や天の怒りが鳴り止まず 佐藤邦子 | 佐藤邦子の句集(Amazon) >> |
神鳴(かみなり)
雷の別称
鳴神(なるかみ)
雷の別称
はたた神(はたたがみ)
はたたく神の意
激しい雷
「靂神」とも書く
| はたた神夜半の大山現れたまふ 阿波野青畝 | 阿波野青畝の句集(Amazon) >> |
| はたた神隙間だらけの日本海 足柄史子 | - |
遠雷(えんらい)
遠くのほうで鳴る雷
| 遠雷やしつとり重き肉包 富川直芳 | - |
| 遠雷やはづしてひかる耳かざり 木下夕爾 | 木下夕爾の句集(Amazon) >> |
落雷(らくらい)
雷が落ちること
雷雲と地面との間に放電が起こること
地上の突起物に落ちやすい
| 落雷が刺す人心の倦むあたり 馬場佳世 | - |
| 落雷の木こそ仏身湖北なり 中村和弘 | 中村和弘の句集(Amazon) >> |
雷鳴(らいめい)、雷声(らいせい)
かみなりの音
雷に沿って大気が急激に膨張するために音が発生する
| 雷鳴に一列横隊 兵の墓 舟坂一善 | - |
| 雷鳴に暴れ出したる鯉のぼり 横井はつゑ | 横井はつゑの句集(Amazon) >> |
日雷(ひがみなり)
晴天のときに雨を伴わないで鳴る雷。また、ひでりの前兆を示す雷
| 日雷転校生の坂駆ける 江良修 | 江良修の句集(Amazon) >> |
| 日雷顔のこはばる餓鬼大將 志村あい子 | - |
雷雨(らいきょう)
雷のひびく音
| 一斉に死者が雷雨を駆け上る 片山桃史 | - |
| 大雷雨鬱王と合ふあさの夢 赤尾兜子 | 赤尾兜子の句集(Amazon) >> |
迅雷(じんらい)
激しい雷鳴
軽雷(けいらい)
かすかな雷鳴
| 軽雷や皿に二つの焼むすび 窪寺寿美枝 | - |
秋の雷
秋の雷(あきのかみなり)、秋雷(しゅうらい)
秋に入っておこる雷
| みづうみの白う照るなり秋の雷 豊長哲也 | - |
| 歳時記にはさみ持ちゆく秋の雷 東國人 | 東國人の句集(Amazon) >> |
雷光(らいこう)、いなびかり、稲妻(いなづま)、いなずま
かみなりの光
遠い夜空に雷鳴はなく、稲光だけが走るもの
米作の豊凶に関連があると考えられ、稲光と呼ばれる
空中電気の放電によって生じる電光で、雲に反映する
| 雷光に妙義走らす嶺と※(山かんむりに品) 河野南畦 | 河野南畦の句集(Amazon) >> |
稲の殿(いねのとの)、稲の妻(いねのつま)、稲の夫(いねのつま)、稲つるみ(いなつるみ)、いなつるび、稲玉(いなたま)
いなびかりの別称
冬の雷
冬の雷(ふゆのらい)、冬かみなり(ふゆかみなり)
冬に入っておこる雷
「夏の雷」は長い時間にわたって雷鳴を轟かせるが、「冬の雷」は一発で終わる事が多く『一発雷』とも呼ばれる
本州の日本海側は、夏よりも冬に雷が多く発生する
| 剥製の翼ひろがる冬の雷 森早和世 | 森早和世の句集(Amazon) >> |
| 地球儀のさらに傾く冬の雷 辻兼子 | - |
雪越し(ゆきおこし)
雪の降ろうとする時に鳴る雷
大雪の前触れとされる
鰤起し(ぶりおこし)
冬の時期に日本海を回遊している寒鰤が、初冬の雷と合わせて獲れ始めることから呼ばれる
漁師が網を「起こす」というのと、寝ている鰤を「起こす」という意味をかけて「鰤起こし」といわれる
| 墓ひとつ更地にしたる鰤起し 国兼よし子 | 国兼よし子の句集(Amazon) >> |
| 巻舌の濤の暗黒鰤起し 森田緑郎 | - |
寒雷(かんらい)
冬の雷の別称
| 寒雷の音高ければ地軸揺る 高橋欣也 | - |
| 寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃 加藤楸邨 | 加藤楸邨の句集(Amazon) >> |
雷の有名な俳句
雷の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きな雷の俳句
| 落雷の一部始終のながきこと 宇多喜代子 | 宇多喜代子の句集(Amazon) >> |

