「鹿」と子季語の意味

季語と子季語のそれぞれの意味

季語の中には、子季語として歳時記に掲載されているものもありますが、その意味が詳しく説明されていない場合もあります。子季語の意味を知ることで、より良い俳句を作ることができるので、今回はよく使われる主季語と子季語の意味をまとめてみました。

「鹿」の季語

下の表では、一番上の「鹿」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。


《 秋 》

鹿【しか】      シカ科の哺乳類。日本にすみ、ヤクシカ・ホンシュウジカなどの亜種があり、北のものほど大形。
牡鹿(おじか)おすの鹿。
牝鹿(めじか)めすの鹿。
小牡鹿(さおしか)おすの鹿。「さ」は接頭辞。
鹿の声(しかのこえ)交尾期に他の雄に挑戦する声で、遠くできくと哀調を帯びる。
鹿笛(しかぶえ)猟師が鹿をおびき寄せるために吹く、鹿の鳴き声に似せた笛。竹や角に鹿の胎児の皮やヒキガエルの皮を張る。




小牡鹿(さおしか)

「小牡鹿(さおしか)」は、秋の季語として知られていますが、その意味は、文字通りの「小さな牡鹿」ではありません。この「さ」は、名詞の前に付いて語調を整えたり、親しみを込めて呼ぶための接頭辞です。例えば、「さゆり」も「百合」を可愛らしく呼ぶ言葉ですよね。

「小牡鹿」の場合、牡鹿の雄々しさや美しさを表現しつつ、親しみやすさを加えた言葉と言えるでしょう。秋の野を駆け回る牡鹿の姿は、古くから人々の心を惹きつけ、和歌や俳句の世界でも多く詠まれてきました。


「鹿」関連の俳句

「鹿」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。

「鹿」の例句

せんべ買ふところを鹿に見られけり 田端将司 - 
ちらちらと鹿の尻きしきしと骨 十河宣洋 - 
まぼろしの鹿はしぐるるばかりなり 加藤楸邨加藤楸邨の句集(Amazon) >>
一枚の絹の彼方の雨の鹿 永島靖子永島靖子の句集(Amazon) >>


「牡鹿」の例句

満月の死角を泳ぐ牡鹿なり 石川青狼石川青狼の句集(Amazon) >>


「牝鹿」の例句

嫩芽光る牝鹿ばかり無風を懼れ 和田悟朗和田悟朗の句集(Amazon) >>


「小牡鹿」の例句

さ牡鹿の群れゐて人の香に聡し 伊藤眠伊藤眠の句集(Amazon) >>


「鹿の声」の例句

何処からでも行ける広間や鹿の声 小豆澤裕子小豆澤裕子の句集(Amazon) >>
看取りきし夜を杉山の鹿の声 石井光枝 - 




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