春の季語の謎!「てんぽ蟹」とは

「てんぽ蟹」とは

春の季語には、愛らしい姿の「シオマネキ」というカニがいます。
歳時記によっては、このカニの関連季語として「てんぽ蟹」という、少し変わった名前が載っていることがあります。 1.2)

私たちの日常では耳にしないこの名前は、一体どこから来たのでしょうか?

謎の季語「てんぽ蟹」の正体

「てんぽ蟹」という言葉を調べてみると、これは和歌山県の紀州和歌浦(きしゅうわかうら)地方での、「シオマネキ」の呼び名だったことが分かります。 3.4)

シオマネキは、片方のハサミが極端に大きいのが特徴です。大きなハサミを振る姿が、まるで潮を招いているように見えることから「潮招き」の名がついたと言われています。

では、「てんぽ蟹」の「てんぽ」とは何なのでしょうか?

残念ながら、その由来ははっきりしませんが、もしかすると、大きなハサミを振る動作や、地域独特の言葉から生まれた、愛称のようなものだったのかもしれません。

季語を選ぶということ

季語は、俳句に季節感を加えるための大切な道具です。しかし、中にはこの「てんぽ蟹」のように、特定の地域でしか使われない、ローカルな言葉が季語として載っていることがあります。

このような季語を使うとき、あなたは「なぜこの言葉を選ぶのか?」と自問してみることで、俳句はもっと面白くなります。

  • 「シオマネキ」と詠むことで、広く一般に知られているカニの姿を想像させる。
  • 「てんぽ蟹」と詠むことで、特定の地域の風土や、そこでしか通じない言葉の響きを表現する。

季語を選ぶことは、どんな世界観を句に込めるかを決めることでもあります。

季語の背景にある物語や、言葉の持つユニークな響きを深く知ることで、あなたの俳句はさらに豊かなものになるでしょう。

参考資料

1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.
2)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.
3)hyakka jiten 第5巻.(1931).Heibonsha, Tokyo.
4)別册文藝春秋 第237~238号.(1989).文藝春秋新社.




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