「秋晴る」という季語が角川俳句大歳時記に紹介されています 1)
「晴る」は「晴れる」の文語形
意味は秋の澄んで晴れ渡る空のことですので、「秋晴れ」と同じ意味です
この「秋晴る」に少し違和感を覚えるのは私だけでしょうか
違和感を覚えるのは、隠れた助詞を考えたときです
「秋晴れ」と「秋晴る」の、それぞれに隠れた助詞を入れてみます
「秋晴れ」は「秋の晴れ」です秋の空が晴れ渡っているという意味のままで、問題はありません
「秋晴る」は「秋の晴る」ではおかしいので、「秋が晴る」になるのだと思います
現代語では「秋が晴れる」となります
秋が晴れる、とはどういう意味でしょうか?
ここに言葉としての違和感を覚えるのです
違和感の大きな原因は「晴れる」の動詞にあります
名詞の「晴れ」は、その言葉自体に「空が晴れる」という意味があるので、「秋晴れ」は「秋の空が晴れる」という意味で受け取ることができます
一方、動詞の「晴れる」は、一般的にその対象を指定して使います
霧が消えるのであれば「霧が晴れる」
雨があがるのであれば「午後に雨が晴れる」
晴天になるのであれば「空が晴れる」というように
ですので、今回のように
対象を秋にして「秋が晴れる」という言い方は、しない気がするのです
「秋晴る」は動詞のため、「秋晴るる」というように、連体形に活用して季語としている本もあります 2.3)
このように様々な本で紹介されていることから
秋晴れず、秋晴るる、秋晴れて
といった活用形が俳句作品の中で多く見かけます
ただ、このような使い方をしているのは俳人だけです
一般の書籍の中では見られません
「秋晴る」を使うときは、その使いかたが正しいのか、念のため確認をしたほうが良いのかもしれません
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1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.
2)日外アソシエーツ.季語・季題辞典.インターネット版.https://www.weblio.jp/cat/dictionary/nkgmj.(参照:2024/03/25)
3)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.