葦鶯(あしうぐいす)とは
夏の季語に、にぎやかな鳴き声が特徴の「葭切(よしきり)」という鳥がいます。
歳時記によっては、この鳥の別称として「葦鶯(あしうぐいす)」という言葉が載っていることがあります。 1)
しかし、「うぐいす」と言えば春の季語。この「葦鶯」は、一体どんな鳥なのでしょうか?
「葭切」と「葦鶯」の意外な関係
「葦鶯(あしうぐいす)」という言葉は、私たちの日常ではあまり耳にしません。その正体を調べていくと、面白いことが分かってきました。
実は、「葭切(よしきり)」という鳥は、日本にやってくるいくつかの種類をまとめた総称です。 2)
その中でも代表的なのが、「大葭切(おおよしきり)」です。
そして、この「大葭切」の中国での呼び名が、「大葦鶯(おおあしうぐいす)」なのです。
「大葭切」が「大葦鶯」と書かれることから、その派生形として「葭切」を「葦鶯」と呼ぶようになったのかもしれません。
季語の「落とし穴」と「発見」
この「葦鶯」という季語を使うときには、少し注意が必要です。
- 読み方の混乱:「あしうぐいす」という読み方で、本当に「葭切」を指すのか、確かな証拠が見つからない。
- 意味の混乱:「鶯(うぐいす)」という言葉が入っているため、読者が春の鳥と勘違いしてしまう可能性がある。
しかし、この季語が持つ「謎」を解き明かすことこそが、俳句の醍醐味です。
季語を学ぶことは、言葉の成り立ちや文化の交流をたどる、まるで探偵のような作業です。
歳時記に載っているからと鵜呑みにするのではなく、「この言葉はなぜここに載っているのだろう?」と疑問を持つこと。そして、自分で調べてみること。
その小さな探求が、あなたの俳句をさらに豊かなものにしてくれます。
あなたも季語の謎を解き明かす旅に出かけてみませんか?
参考資料
1) 日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.
2) 百科事典マイペディア.平凡社.インターネット版.
https://kotobank.jp/dictionary/mypedia/(参照:2024.03.05).
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