季語「歳暮祝(せいぼいわい)」の違和感

俳句の季語を調べていると、普段あまり耳にしない言葉に出会うことがあります。
冬の季語「歳暮(せいぼ)」の関連季語として、歳時記に掲載されている「歳暮祝(せいぼいわい)」もその一つかもしれません。



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「歳暮」とは

「歳暮」は、年末に日頃お世話になった人に感謝を伝える贈り物や、その風習そのものを指す言葉です。一般的には「お歳暮」という丁寧な形で使われます。
しかし歳時記には、「歳暮祝」という、私たちの日常会話ではほとんど使われることがない言葉が掲載されています。 1.2.3.4)

なぜ「歳暮祝」は一般的ではないのか?

この言葉が普段の会話で使われないのには理由があります。

  1. 「祝い」という言葉の違和感
    「歳暮」は、感謝や挨拶の気持ちを込めた贈り物であり、結婚や出産のような「お祝い」とは少し性格が異なります。例えば、「結婚祝い」「出産祝い」のように「祝い」を使いますが、「歳暮」に「祝い」をつけるのは不自然です。
  2. 「お歳暮」が正しい表現
    「歳暮」という慣習は、古くから年末の挨拶として定着しています。
    そのため、贈り物やその風習を指す場合は、「お歳暮」や「歳暮の礼」とするのが日本語として自然です。

歳時記によっては「歳暮祝」が掲載されていることがありますが、これは俳句という言葉の特性上、五音や七音の音数に合わせるために、あえて使われてきた言葉なのかもしれません。しかし、ほとんどの俳人がこの言葉を避けています。

季語の正しい使い方を見直そう

歳時記は俳句の強い味方ですが、掲載されている言葉がすべて、現在の日本語として正しいとは限りません。
特に、普段の生活であまり使わない言葉や、見慣れない組み合わせの季語に出会ったときは、少し立ち止まって考えてみることが大切です。

「歳暮」を詠む際は、「お歳暮」「歳暮の礼」といった、より一般的で自然な言葉を選ぶことで、読者にも意図が正確に伝わります。

季語を詠むことは、その言葉が持つ本来の意味や背景を深く理解することでもあります。少しでも違和感を覚えたときは、自分で調べてみるという一手間が、あなたの俳句をより豊かなものにしてくれるでしょう。



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参考資料

1)角川学芸出版.(2006).角川俳句大歳時記.角川書店.
2)現代俳句協会.(2004).現代俳句歳時記.学研プラス.
3)汀子稲畑.(1999).ホトトギス俳句季題便覧.三省堂.
4)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.




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