夏の季語の謎!「すむぎ」ってどんな麦飯?

「すむぎ」とは

夏の季語に、麦を混ぜて炊いたご飯「麦飯(むぎめし)」があります。
この麦飯の関連季語として、歳時記によっては「すむぎ」という言葉が載っていることがあります。 1)

「すむぎ」とは、一体どのような麦飯なのでしょうか?

「すむぎ」に隠された、知られざる食文化

この言葉の謎を解くために調べてみると、とても興味深いことが分かってきました。

「すむぎ」とは、漢字で書くと「素麦(すむぎ)」。
これは、米を一切混ぜずに、麦だけで炊いたご飯を指す言葉でした。 2)

昔の文献によると、麦飯は米と麦を混ぜるのが一般的で、その混合比によって呼び方が変わっていたようです。

  • 米と麦の混合:一般的な麦飯
  • 米と麦を半々:「反白(はんぱく)」
  • 麦のみで炊いたもの:「純麦(じゅんばく)」や、俗に「素麦(すむぎ)」

この「すむぎ」という言葉は、戦前には使われていたようですが、現代の辞書にはほとんど載っていません。

季語を選ぶということ

もし、あなたがこの季語を俳句で使った場合、読者はその言葉が何を指すのか分からず、作品の意図が伝わりにくくなってしまう可能性があります。

季語を選ぶことは、言葉の持つ意味を理解し、その言葉が読者にどう伝わるかを考えることでもあります。

  • 麦飯:多くの人が共感できる、夏の食卓の情景。
  • すむぎ:麦のみを炊いたご飯が持つ、昔の食生活や、言葉の響きを表現する。

季語を選ぶときには、「音の響き」や「言葉の面白さ」だけでなく、「その言葉が持つ背景」や「読者との共通認識」を考えることが大切です。

季語を学ぶことは、言葉の探検です。今まで知らなかった言葉に出会ったら、ぜひ一度、その言葉のルーツをたどってみてください。


参考資料

1)角川書店.(2022).新版 角川俳句大歳時記.KADOKAWA.
2)佐土原町教育委員会.明治百年記念誌.(1968).佐土原町.



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