「〇〇流し」という季語があります
「流し」は雨の気配を含んだ南風のことで夏の季語です
「流し」に別の言葉がついて、別の季語になることがあります
「茅花」と「流し」がついて「茅花流し」という季語になります
茅花の穂がほつれたころに吹く南風で、初夏の季語です
また、「筍」と「流し」がついて「筍流し」という季語になります
筍が生え出るころに吹く南風で、こちらも初夏の季語です
このような季語で、先日「木の芽流し(きのめながし)」というものがあるのを初めて知りました
ただ、2つの辞書に紹介されているものの、季節の分類と意味がそれぞれ違っていました
「俳句季語よみかた辞典」は夏の季語で「木の芽どきに吹く湿った南風」と書かれています 1)
「ハイブリッド新辞林」は春の季語で「早春,樹木の芽ぶくころに降る長雨」と書かれています 2)
どちらが正しいのか気になったので調べたところ
「木の芽流し」は屋久島での菜種梅雨の別称ということでした
また「流し」は長雨のことで「木の芽長雨(なげし)」とも言うようです 3)
木の芽は春
長雨を伴う梅雨入りは屋久島では早いので春
ということで、「木の芽流し」は屋久島での春の季語となります
茅花流し・筍流しの「流し」は、初夏の南風
木の芽流しの「流し」は、屋久島の春の長雨
間違えて使わないように注意しましょう
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1) 日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.
2) 三省堂.ハイブリッド新辞林インターネット版.https://sakura-paris.org/dict/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E6%96%B0%E8%BE%9E%E6%9E%97/?romaji=0 (参照:2024/03/20)
3) 加藤則芳.自然の歩き方50. (2001). 平凡社.p188.