俳句の世界では、良い俳句は韻律が良いと言われます
しかし、具体的に韻律が何なのかを説明しているのは、聞いたことはありません
しかし、具体的に韻律が何なのかを説明しているのは、聞いたことはありません
ここでは、韻律とは何なのか
どのようにすれば、良い韻律の句が作れるのかを、具体的に説明します
「韻律」とは、音声の高さ・強さ・長さによって作り出される言葉のリズムを言います
ですから、音声の高さ・強さ・長さなどが整っていると、韻律の良い俳句と言うことになります
ここでは、音声の高さ・強さ・長さのうちの「音声の強さ」に絞って話を進めます
「音声の強さ」は強弱のアクセントとも言えます
強弱のアクセントは、俳句の韻律に大きく関係しているのです
音声の強さ(強弱のアクセント)
次の俳句を読んでみてください
〇は音声の高低アクセントを表していますが
◎は強弱アクセントの“強”を示しています
◎〇 ◎ 〇 ◎〇〇
◎ 〇〇 ◎〇〇〇 〇 ◎ 〇
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ゆくはるを おうみのひとと をしみける
行春を 近江の人と をしみける
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良い俳句というのは、強弱のアクセントが五・七・五の節目にあることが多いと言えます
五・七・五の独特なリズムを、強弱のアクセントによって強調させることで、読む人に心地よさを与えて、理解のしやすさを手助けしているのです
俳句はリズムが大切だと言われますが、強弱のアクセントはリズムの一端を担っているのです
強弱のアクセントを、正調の句と、破調の句で見比べてみましょう
正調の句
◎〇 ◎ 〇 ◎〇〇
◎ 〇〇 ◎〇〇〇 〇 ◎ 〇
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ゆくはるを おうみのひとと をしみける
行春を 近江の人と をしみける
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◎ ◎〇〇 ◎〇〇
◎〇〇〇 ◎ 〇〇〇 ◎ 〇
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いくたびも ゆきのふかさを たずねけり
幾たびも 雪の深さを 尋ねけり
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◎〇 ◎ 〇 ◎〇〇〇
◎ 〇〇 ◎〇〇〇 〇 ◎
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とどまれば あたりにふゆる とんぼかな
とどまれば あたりにふゆる 蜻蛉かな
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正調の句は、強弱アクセントの“強”が、五七五の先頭に来ています
これにより、五七五が明確に感じられます
破調の句
◎〇〇〇 ◎ 〇 ◎
◎ ◎ 〇〇 〇〇 〇〇 ◎〇〇
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あけぼのや しらうおしろき こといっすん
明ぼのや しら魚しろき こと一寸
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◎〇〇〇 〇〇 ◎〇 〇 〇
◎ 〇 〇◎ 〇 〇〇
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だいがくの さびしさふゆき のみならず
大学の さびしさ冬木 のみならず
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◎ ◎ 〇 ◎ 〇
◎〇〇〇 ◎〇 〇 ◎ 〇〇 〇〇
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うみくれて かものこえほの かにしろし
海暮れて 鴨の声ほの かに白し
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どうでしょうか?
全ての句がそうだとは言いませんが
破調の句では、五・七・五の節目ではない部分で強弱のアクセントが現れます
五・七・五のリズムが崩れている、とも言えます
これが「破調の句は韻律が悪い」と言われる一つの理由となっています
強弱アクセントを、五・七・五の節目に置くこと
それにより、五・七・五のリズム感を出て、良い韻律となって、良い俳句につながっていきます
最後に
俳句作りに必要な韻律について、記事に書きました
今回は「 ①音声の強さ ②音声の高さ ③音声の長さ 」の中の「①音声の強さ」について、説明をしました。
「②音声の高さ ③音声の長さ」を読まれていない方は、そちらも一緒に読むと、より韻律を深く理解できて、良い俳句が作れるようになるはずです
① ─音声の強さについて─
② ─音声の高さについて─
③ ─音声の長さについて─