「繭」と子季語の意味

季語と子季語のそれぞれの意味

季語の中には、子季語として歳時記に掲載されているものもありますが、その意味が詳しく説明されていない場合もあります。子季語の意味を知ることで、より良い俳句を作ることができるので、今回はよく使われる主季語と子季語の意味をまとめてみました。



「繭」の季語

下の表では、一番上の「」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。


《 初夏 》

繭【まゆ】完全変態をする昆虫の幼虫が口から繊維をはいてつくる覆い。普通は楕円(だえん)形で、中にこもって休眠し、さなぎの期間を過ごす。
新繭(しんまゆ)その年にとれた繭。
白繭(しろまゆ)白い色をした繭。
黄繭(きまゆ)黄色の繭(まゆ)の総称。糸質は良いとされる。
玉繭(たままゆ)繭の美称。 2匹またはそれ以上の蚕が一緒になって作った繭。
繭干す(まゆほす)さなぎが蛾にならないよう乾燥させること。
繭煮る(まゆにる)糸引きのために繭を煮ること。




新繭について

「新繭」という季語は、その年に初めて採れた繭のことを指します。美しい眉毛を連想するかもしれませんが、俳句の世界での「新繭」は、蚕が一生懸命に作り上げた生命の結晶であり、それを収穫する生産者の喜びや安堵の気持ちが込められた言葉です。

俳句で「新繭」を使う際は、単に「新しい繭」という意味だけでなく、そこには蚕の生命力、人の手によって育てられた喜び、そして自然の営みへの感謝といった、様々な想いが込められていることを意識して詠むと、より奥深い作品になります。


「繭」関連の俳句

「繭」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。

「繭」の例句

大いなる時間を食べて繭となる 佐藤孝子 - 
月光へ目覚めて繭の中にあり 青柳志解樹青柳志解樹の句集(Amazon) >>
繭あげて翁まなざし雨ざらし 松澤昭松澤昭の句集(Amazon) >>


「新繭」の例句

うしろめたくも新繭に形ありぬ 青山茂根青山茂根の句集(Amazon) >>
しづけさや手に新繭のうすみどり 柳沢杏 - 


「白繭」の例句

白繭やとろりとろりと一ト日ある 小形さとる - 
白繭や乙女は細き眉を描き 米田正弘 - 


「黄繭」の例句

世をへだつごとくに籠る黄繭かな 阿波野青畝阿波野青畝の句集(Amazon) >>


「玉繭」の例句

幼年のはじめの色を繭玉に 神田ひろみ神田ひろみの句集(Amazon) >>
玉繭や金剛峯寺にゐたるなり 中島陽華 - 
玉繭にありし匂ひの唐突に 井上信子井上信子の句集(Amazon) >>


「繭干す」の例句

干繭や桑に入る日のうち映えて 瀧春一 - 


「繭煮る」の例句

繭を煮るいのちの匂ひ生臭き 落合由季女 - 
繭を煮るゆつくり円を描きながら 服部早苗 - 
木の芽風満ちし厨に繭を煮る 林八重子 - 





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