季語の中には、子季語として歳時記に掲載されているものもありますが、その意味が詳しく説明されていない場合もあります。子季語の意味を知ることで、より良い俳句を作ることができるので、今回はよく使われる主季語と子季語の意味をまとめてみました。
「芒」の季語
下の表では、一番上の「芒」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。
《 秋 》
芒【すすき】 | イネ科の多年草。山野に群生し、高さ約1.5メートル。秋、茎の頂に十数本の枝を出し、黄褐色から紫褐色の大きい花穂をつける。秋の七草の一。 |
薄(すすき) | ススキの別称。 |
尾花(おばな) | ススキの別称。馬などの尾に似ているところから。 |
花芒(はなすすき) | 秋日、黄褐色の尾花を穂状につけ、最後に白くなって飛び散る。 |
鬼芒(おにすすき) | ススキの種類の一つ。 |
糸芒(いとすすき) | イネ科のススキの変種。 |
真赭の芒(まそほのすすき) | 真赭は穂が赤みを帯びて輝いているという意。 |
十寸穂の芒(ますほのすすき) | 穂が10寸(30センチ)ある芒。 |
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真赭の芒
「真赭の芒」という言葉を聞いたことがありますか? 穂が赤みを帯びた美しいススキのことです。
「真赭」とは、赤みがかった少し暗めの桃色のことを指します。よく似た言葉に「赭」がありますが、こちらは赤色の土のような、さらに暗い色合いです。(↓下に色があります)
「真赭の芒」は、意識しないと見過ごしてしまうほど、自然の中に溶け込んでいます。しかし、一度その美しさに気づけば、秋の風景がより豊かに感じられるでしょう。
俳句を作る際には、主季語だけでなく、子季語にも目を向けることが大切です。今回の「真赭の芒」のように、普段はあまり意識しないような言葉にも、美しい情景や奥深い意味が隠されていることがあるからです。
このような言葉を発見し、俳句に詠み込むことで、あなたの作品はより個性的なものになるはずです。
真赭 | ![]() |
赭 | ![]() |
「芒」関連の俳句
「芒」を使った俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。
「芒」の例句
いつよりの身の斜めぐせ芒原 沼尻巳津子 | 沼尻巳津子の句集(Amazon) >> |
この道の富士になりゆく芒かな 河東碧梧桐 | 河東碧梧桐の句集(Amazon) >> |
なびく芒の穂のみ日あたり街道昏る 桂信子 | 桂信子の句集(Amazon) >> |
ひきつづき寝台車着く芒原 杉野一博 | 杉野一博の句集(Amazon) >> |
「薄」の例句
かきわけし片手が薄になっており 相本寿美子 | - |
我庭の良夜の薄湧く如し 松本たかし | 松本たかしの句集(Amazon) >> |
「尾花」の例句
空気にも起伏のありて尾花かな 小宅容義 | 小宅容義の句集(Amazon) >> |
「花芒」の例句
修羅の数忘れてしまった花芒 依田壽子 | - |
光る時光は波に花芒 稲畑汀子 | 稲畑汀子の句集(Amazon) >> |
群衆霧散 地に幻の花芒 橋本一峰 | - |
花芒ようやく牛が見えてきた 坂田直彦 | 坂田直彦の句集(Amazon) >> |
「鬼芒」の例句
鬼芒掻きわけ反芻ガン告知 足立淳 | - |
「糸芒」の例句
糸芒瀬音奏づる蛇籠の目 木上よし | - |
「真赭の芒」の例句
夕映えの真赭の芒ありにけり 前原早智子 | - |
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季語を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、従来の歳時記には子季語の意味が詳しく記載されていないため、適切な季語を選ぶのが難しいという課題がありました。
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