冬の季語の謎!「五平汁」はなぜ「きりたんぽ」の仲間?

冬の季語に、秋田県の郷土料理「きりたんぽ」があります。
このきりたんぽの関連季語として、「五平汁(ごへいじる)」という言葉が載っていることがあります。 1)

「五平餅」と似た名前なので、もしかして、きりたんぽ鍋に五平餅を入れる料理?と思う人もいるかもしれません。
しかし、実は全く違うようです。


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「五平汁」に隠された、知られざる郷土料理

この言葉の謎を解くために調べてみると、とても興味深いことが分かってきました。

「五平汁」とは、農家などで作られていた、簡易的なきりたんぽのことです。 2.3)

一般的なきりたんぽは、つぶしたご飯を棒に巻き付けて焼いたものを、鶏肉や野菜と一緒に鍋で煮込みます。一方、「五平汁」は、棒に巻く手間を省き、ご飯をそのまま団子にして鍋に入れたり、ご飯と具材を一緒に煮込んだりする、素朴な料理だったようです。

つまり、どちらも「つぶしたご飯を鍋に入れる」という共通点があるため、関連季語として紹介されているのです。

季語を選ぶということ

季語を選ぶときには、言葉の響きだけでなく、その言葉が持つ背景や、地域性を理解することが大切です。

  • きりたんぽ:秋田の代表的な郷土料理。
  • 五平汁:きりたんぽの原型とも言える、素朴な田舎料理。

同じ「ご飯の鍋料理」を指す言葉でも、きりたんぽと詠めば秋田の文化を、五平汁と詠めば昔ながらの農家の暮らしを句に込めることができます。

季語を学ぶことは、言葉の奥深さを知る旅です。今まで知らなかった言葉に出会ったら、ぜひ一度、その言葉のルーツをたどってみてください。



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参考資料

1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.
2)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.
3)山本健吉.最新俳句歲時記秋.(1971).文藝春秋.


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